第34話 やっぱりこれだよね
今回、勇者と共に歩む旅は、ビスビオ王国から教国を跨いで、オーラン帝国へ行き、ルルミア王国の戻ってくる、というルートの予定だ。
「じゃあ、エミルを一緒に連れて行くことに賛成な人」
「「「「はい」」」」
(ヤン、お前さん、そこは手を挙げるべきだよな)
僕達は今、ビスビオ王国に向かって南下している。
「ヤン。戦闘の時、エミルを守ってくんない?」
「はぁ? 何でオレがやらなきゃいけないんだよ」
「守りながら戦ったことないだろ」
「そうだな。でもラルフ知っているよな、オレがエルフを嫌っていることを」
「知っているよ。だからさ、レベルを上げる意味でも守りながら戦ってみたら良いんじゃないかな」
「わーかったよ。やればいいんでしょ。やれば。まったく」
問題なく進む。途中、野盗に遭うが倒して、武器を奪っていく。
「そういえば、サル。ビスビオ王国出身だよね」
「そうだ。わいはビスビオ王国のハコクサ出身だ」
「それにしても、凄い恰好だな。〇〇毛が見えてる」
「ぎりぎりセーフだよな」
(いや、余裕でアウトだから)
僕達は勇者を中心として魔獣を殲滅していき、ヤンはバックアタックに気をつけてエミルを守ると。そういう態勢で旅をしていく。
「結構、難しいな。守りながら戦うの」
「そうだろうね。エミルはどう? ヤンに守ってもらった方がいいよね」
「……はい♡」
(そうだよな。奴隷商の時といい、娼館の話といい、二度助けてもらっているもんな)
そして、ビスビオ王国に入国した。しばらく進むとサルからこう言われる。
「ラルフ、この国はな。ハコクサを中心にたくさんの温泉地がある。特に山の麓にあるのが有名だ」
「へぇー。そうなんだ」
「温泉宿に寄ってみるか?」
「そうだね。みんな喜びそうだし」
僕達はサルの案内で温泉宿に着く。見たことのない外観に興味をもった。
「ようこそ、いらっしゃいました。六名様ですね。二部屋でいいでしょうか?」
「はい、男女で別れていれば大丈夫です」
女将の案内で部屋に入る。部屋の中は何とも言えない不思議な感じだった。
「サル、これは?」
「畳だな」
「ベッドがないけど?」
「あぁ、布団を敷いて寝るんだ」
「布団?」
「あとで見ればわかるぞ」
女性陣は温泉のことで、楽し気に話している。
「おいら、温泉はじめて。楽しみだなぁ」
「ピコちゃん。あーしも楽しみ」
「リン姉、ピコ姉。温泉ってどんなものですかね?」
◆
「ふぅ、温泉っていいね。ピコちゃん」
「いいですー。うーん、気持ちいい。あっ、リン姉、おっぱい綺麗」
「ふふ、そうでしょ。でもピコちゃんには負けるわ」
「えい!」
「やめてよー。揉むの、感じちゃうから」
「リン姉、おいらの胸も揉んでもいいですよ」
「そうぉ、[ぎゅぬ]これどう?」
「なんだろ。なんとも――」
◆
「ぷるんぷるん、揺れる揺れる。いい乳だなぁ」
「サル、覗きはやめなよ。エスカレートしたら手を出すよね?」
「何言ってんだ? ヤルはずないだろ。メンバーを妊娠させたらダメだろうよ」
(すみません。僕やっちゃいました。聖女に手を出しました)
「だから、娼館に行くんだよ」
(僕は行きません、妻がいますから)
◆
「サル、これは何?」
「バナナ牛乳というやつだ。温泉あがりにはこれを飲むんだよ」
「へぇ、そうなんだ。すみませーん、バナナ牛乳七本くださーい」
「リン姉。これ美味しいね」
「そうね、ピコちゃん。くせになりそう」
「わいは、覗くのが癖になっているけどな」
(サル。思っていることが口に出ています。それに完全にセクハラです)
◆
温泉を楽しんだあと、僕は部屋に戻るため廊下を歩いていると、後ろからエミルに声をかけられた。
「ラルフさーん」
「どうしたの? エミル」
「シルフ達の伝言ゲームによると」
「シルフ?」
「ラルフさんの奥さん、妊娠しているそうです」
「マジで、ホントか!」
(やったー。タイミング的に最後の魔力交換だな)
◆
「ピコちゃん。タッキュウって遊びがあるみたい。一緒にやらない」
「やる! エミルちゃんもやるよね?」
「はい!」
「ピコちゃん。一対一と二対二があるみたい、もう一人誘わない?」
「それなら、ヤンさんかラルフさんがいいです」
「あー、でもヤン誘ってもやらなそう」
「じゃあ、ラルフさんで決まりですね」
◆
僕はゆっくり部屋でくつろいでいると、ムネピコがきてタッキュウ場へ行くことになった。
カコン、カコン、カコン、カコン
「えい」
「そりゃ」
「ほい」
「とう」
「はっ」
「いやーー」
(リーン、ムネピコ。着ているものが、はだけているよ。下着をつけていないから、丸見えだよ)
「ラルフさん。タッキュウって上半身を見せていくんですね」
(違うよ。エミル。この二人がおかしいんだよ)
◆
夕食はみんなで部屋に集まって食べる。
「ピコちゃん。夕飯、美味しそうね」
「うん! あれ? リン姉、器の下にあるやつなんだろ?」
「これね。ロウソクよ。こんな形もあるんだぁ」
(リーン、持っているローソクを全部寄付しようか)
◆
夕食を終え、僕はサルに布団というものの使い方を教わっていた。一方、その頃女性陣はというと。
「ピコちゃん。エミルちゃん。これね、遊べるの」
「リン姉、どうやるの?」
「投げて、相手にぶつけるのよ」
「なんか、楽しそう!」
「あっ。思い出した。ふふふ」
◆
「ラルフ」
「どうした?」
「ちょっと、来て」
◆
「的もできたし、やりましょう」
「リン姉、いいの?」
「大丈夫よ。前にもやったから」
(あぁ、あの時ね。お願いだから、深夜までやらないでね)
「なんか、かわいそうです」
「エミルちゃん。大丈夫よ。ラルフ、あーしのおっぱい見てたから」
(あのね。あれは事故だと思うよ。っていうかお前、見せてきたでしょ)
◆
翌日の朝、僕達は宿をチェックアウトするためロビーへ。
「またのお越しをお待ちしております」
宿の外に出ると近くにいたリーンとエミルの会話が聞こえてきた。
「楽しかったね」
「はい。また、来たいです」
「大丈夫よ。この国には温泉宿、たくさんあるから」
「じゃあ、次の所も温泉宿に泊まれるんですね」
「そう」
「やったー!」
(あのね。僕死にますよ。深夜三時まで、的になるんですから)
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