第28話 赤髪の巨乳美女って、お前、誰?

 それは、突然だった。


「ラルフ殿でありますか?」


 僕達が住む宿舎に王国騎士団の男が訪ねてきた。


「そうだけれど」

「陛下の命で参りました。ご同行を」

「わかった。着替えてくる」


「ラルフ、何があったの?」

「国王陛下に呼び出された。ヤン、リーン、一緒に来てくれないか?」


 ◆


「ラルフ、よく来てくれた。その者達は確か」

「はい、王女の件で一緒に助けに行った者です」

「わかった。時間が無いので言おう。教国の教皇から応援要請が来た」

「戦争のですか」

「そうじゃ。オーランなら手を組まない。信仰心の厚い奴らがたくさんいるからのう」

「それで、僕に行けと」

「うむ、その通りだ」

「僕だけですか?」

「命令はな。好きな者を連れていって小部隊を作ると良い」

「わかりました。出発は?」

「今すぐじゃ」

(国王、無茶振りもいいところです)


「ヤン、リーンどうする?」

「オレに聞くか? 当然だろ」

「あーしも」

「リーン、捕まったら犯されるぞ。大丈夫か?」

「……」

「まぁいい、すぐに支度しよう」


 ◆


「えっ」

「あぁ、戦争で教国に行ってくる」

「イヤです」

「陛下の命令だ」

「私は戦争なんて行ってほしくない」

「準備する」


 僕はディアに手伝ってもらい、支度を済ませる。ディアは自分の気持ちを抑ているのが表情から読み取れた。


「ヤン」

「早く行きてぇんだけど」


「リーン」

「もう少し待って」

「来るのか?」

「行く。行かなくて、ラルフさん達が死んだら後悔しか残らない」

「わかった」


「ラルフ、これ」

「いいのか? 腕輪」

「お守り」

「わかった。ありがとう。必ず戻る」


 ◆


 僕達が宿舎を出たら、聞き覚えのある声が聞こえた。


「ラルフさん!」

「オリバー、どうしたんだ?」

「俺も戦争にいきます」

「なんで? 訓練生だろ」

「ネルには婚約者がいるんです。殊勲をあげて、少しでも王に認められたいんです」

「婚約を破棄させて、オリバーとの婚約にもっていきたいと」

「はい、そうです」

「わかった。じゃあ、よろしく」


 僕達四人は戦争に参加すべく教国へと向かった。


 道中はオリバーのフレイミングソード、リーンの魔法、ヤンで魔獣と野盗を殲滅していく。


「そういえば、リーン。出身地オーラン帝国だろ。実家とか大丈夫なのか?」

「あーしの住んでた村。魔獣にやられて、両親も知っている人も死んだの」

「そうかぁ」

「だから、帝国と戦っても大丈夫」

「……」

「あとね。そのことがあって、冒険者になったからラルフさん達と出会えたんだぁ。だから、大丈夫」


 教国に入国して、無事に戦争の作戦本部前に着いた。すると小部隊の中に見覚えのある顔を見つけた。


「エリオット!!」

「! あっ、ラルフ」

「久しぶりだな」

「あぁ、元気だったか?」

「あぁ。っていうか、何で(ニゲール)襲撃したのを国王陛下に言ったのよ」

「国の追求が凄くてね。言わざるを得なかった」

「そうか、部隊は?」

「ニゲール領第七小部隊」

「そうか、お互い生きて帰ろうな」

「先に死ぬなよ」

「言ってろ、ばーか」



トントントン


 軽く肩を叩かれ振り向くと、赤髪の巨乳美女がいた。


「久しぶりよのう、ところで聖女は何処にいった?」

(だれ?)


「わらわを覚えていないか? 感動の別れに立ち会ったのに」

「すみません。どなたですか?」

「アテネの姉じゃ」

(ん? ってことは……)


「ま(ふぐっふぐっ)」


 口を塞がれ、呼吸が苦しい。


「今はクルルと名乗っている」

「ふぅー、天界はどうしたんですか?」

「親父と喧嘩して家出中じゃ」

(なにしてんの魔王)


「でも、何故ここに?」

「アテネに聞いてな。面白そうだから、お主の所に降りてきた」

(女神様、余計な事を言いましたね)


「ラルフさん、この人は?」

「リーン、会ったことがあるよ」

「??」

「元魔王だ」

「えーーー!」

「今はクルルって名前だ」


 ◆


「こちらがクルル」

「よろしくじゃ」


「こっちはオリバーで、こいつがヤン」

「よろしくお願いします」


「上から目線が気にいんねぇ」

「ヤン、年上だ」

「マジか、オレ百歳だぞ」

「あぁ、マジだ」


「あっ、クルル。僕達、王国の特命部隊ね」

「そうなのか? まぁ、なんでもいいのじゃが」


 こうしてヤバい素敵な?メンバーで戦場を駆け抜けることになった。

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