第27話 大事な仲間
帝都は賑わいをみせている。明後日、討伐パーティーの凱旋パレードが行われるそうだ。
僕はディアとリーンに見たいのか聞いてみたが、興味がなく、帝都を立ってもいいそうだ。ヤンは興味がないって聞かなくてもわかるから、旅の準備をしていくことにした。
そしてまた、ルルミア王国を除いて各国は凱旋パレードをすると号外に書いてあり、僕はオーラン帝国と教国は戦争中だったのにもかかわらずに凱旋パレードをやるのかと思った。
◆
僕らの馬車の旅は続く、魔獣の他に野盗に遭うが、ヤンが無慈悲に首を刎ねていく。
野盗が残したサーベルをスペア用に貰ったらと言ってみたが、汚いからいらないと返答があった。
そして王都に着く前日にディアが体調不良を訴えた。心配だったが移動し続けた。王都に着いて、宿屋の確保、そして僕は王城へと向う。
◆
「エンチャンターのラルフです。国王陛下との謁見を願いたい」
「はっ! 確認して参ります」
僕は謁見の間では無く、別の部屋に通された。ここは王女を保護した時に使っていた部屋だ。
「久しぶりだのう。ラルフ」
「はっ」
「堅苦しく無くていいぞ。プライベートだからな」
「はい、わかりました。国王陛下」
「それで話と言うのは、何かな?」
僕は国王陛下に、辺境の町ポートオフィスから魔族領で起こったことを伝えた。もちろん、魔王は倒されていなく天界に帰ったことも。
「そうか、あのテイマーがか」
「はい、メンバーの魔女と治癒師も同じことを言います」
「そうか。しかしまぁ、勇者パーティーの編成前に魔王が消えるとは」
「そうなんですね」
「メンツを保つのに、お主らの凱旋パレードをしたいのじゃが」
「すみません、辞退いたします」
「褒美を受け取れなくてもか?」
「目立てば、陰謀に巻き込まれますから」
「そうじゃった。スタロンっていう馬鹿が聖女がいなくなりお主を追放してたな」
「そうですね。遥か昔のように感じます」
「わかった。あぁ、よく考えたら凱旋パレードをした国はボロが出て、信用がなくなり国力が落ちるのか」
「……」
「ふー、今のところ、我が国は混乱にならずに済みそうじゃな」
「はい」
「わかった。ところで、せっかく来たのだから騎士団でも見に行ったらいい」
「あっ、はい、ありがとうございます」
◆
僕は護衛の人に案内をお願いし、騎士団の訓練場へと向かう。オリバーに会うのは何か月ぶりだろう。
「あっ、お久しぶりです。ラルフさん」
「おう、元気にしてたか」
「いじめにあっていますが元気です」
「そうか、出る杭は打たれるのか」
「このくらいで、へこたれていたら、騎士団の恥になりますからね」
「フレイミングソードは?」
「はい。ネ――王女に預かってもらっています」
「そうかぁ、ネルねぇ。だいぶ親しくなったみたいだけど」
「あはは」
「ところで、オリバーに伝えたいことがある」
僕はザビンツ帝国を抜け、魔族領に入ったこと。魔王と会い、そこで起こったこと。できるだけ詳細にオリバーに伝えた。
「そんなことが起こったんですね」
「まぁ。元パーティーメンバーには事実を知ってもらいたくてね」
「ありがとうございます。このことは……」
「特秘だ」
「わかりました」
◆
宿屋に行くと、ディアに迎えられる。
「お帰りなさい、あなた♡」
「ただいま」
「あのね、さっきね。体調不良のことを診てもらったら」
「……」
「妊娠していたの」
「ホントか?」
「うん♡」
僕は嬉しくなった。ディアとの子供ができたからだ。
◆
「で、どうすんだ? オレはてっきり、世界中を旅するもんかと」
「まぁ、ディアがいるから、近くのクエストをこなしていくよ」
「つまんねえな。もっと強いやつと殺りあおうぜ」
「ははは。ちょっと今は無理かな」
「だろうな」
「リーンの生活もあるし、考えないとね」
「リーンなら他のパーティーに入っても即戦力だろ。そっちで稼いでも」
「あーそうか。まぁ彼女の意志が一番だから、三人でミーティングしよう」
「面倒くさいな、お前が直接聞けばいいだろ」
◆
「あーしは、抜けないよ」
「うん」
「ラルフさんに振られたけど、あーしにとって大事なパーティー、仲間なんです」
◆
「この腕輪と指輪。リリルさんから貰ったんだけど」
「女神様から貰らったの?」
「そう、加護を感じる。それでね、全身を使った魔力交換はしない方がいいみたい」
「そうなんだ」
「だから、その分ハグしよ♡」
「なんか、恥ずかしいな」
「浮気はダメだからね。どうしてもって時には、手やリップでサービスしてあげるから♡」
「わかった。その時はお願いするよ」
「ちなみに今日は?」
「お願いします」
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