第24話 side リルル

 私は記憶を取り戻してしまった。


 私には使命があるということを。このことは誰にも言えない。


 言ってしまう時にすべてが終わるから。


 私はディアさんの部屋の扉をノックして、扉の前で彼女に言う。


「ディアさん」

「はい」


 私は右手にしていた指輪、そして左に付けていた腕輪を外す。


「これ、拾った物だけど、ディアさんにあげる」

「えっ、どうしたの?」

「わからないんだけど、この文字読める?」


 ディアさんは真剣に指輪を見ていた。


「これって」

「ディル達がね。渡せって言っているの」

「いやいやいや、こんな貴重なもの受け取れない」

「私じゃ、宝の持ち腐れみたいだから、ちゃんとした人に持って欲しい」


 ディアさんは俯いて考え、顔を上げる。


「わかった。無くさない。ありがとう」


 その言葉に私は微笑んだ。

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