第22話 送別会の痴女コンビ
僕達は宿屋にてオリバーの送別会をやっている。
「「「「「かんぱーい」」」」」
ちなみにヤンは面倒くさいらしく、外に行って魔獣を狩るそうだ。
(うーん。リリ痴女コンビの動きがあやしい)
「ラルフ、このお菓子とってあげるね」
リルルの胸の谷間がみえる。
「よいしょ」
今度はリーンが見せつけるように足を組みなおす。
(なるほどねぇ。そうきたか)
「…………」
(ディア、仕込まれたようだけど、君は君らしくていいからね)
「ほら、二人とも、僕じゃなくで主賓にいって」
オリバーはお菓子を食べながら、心ここにあらずで何か考えているみたいだ。
「今日こそは呑みなさい」
「だから、僕じゃなくてオリバーだって」
「ちぇえ」
つまんなそうに、リリルは呑む。
「あーし、ラルフさんの良い所みてみたいっす」
そう言ってリーンは僕にお酒を渡す。
「オリバー!! なんか言ったらいいじゃない!!」
そう言って、リーンの視線が外れた瞬間。用意していたジュースと入れ替える。
「はやく、いいとこ、みてみたい」
「そんなこと言うなら、勝負だ。三杯どちらが先に飲めるか」
「むむ、あーし負けない」
僕はジュースをちびちび飲みながらリーンの様子を伺う。
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「ぷはー、三杯いった」
「あーあ、三杯目に入ったのに……。もう一回勝負するぞ」
「へへへ、ラルフさんには絶対負けない」
「面白そうね。あたいも入っていい?」
「いいぞ」
そして杯を準備する。
「ディア、スタートの合図よろしく」
「……わかった。用意、スタート!!」
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「あーしの勝ちー」
「いや、あたいの勝ちよ」
「畜生、もう一回、もう一回やろう」
「いいわよ。リーンには負けない」
「余裕でリル姉に勝ちまーーす」
「じゃあいい。用意、スタート!!」
〔ふふふ、二人を潰して、ラルフにアピールしーよー〕
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「イェーイ、勝ちー」
「いや、あたいの勝ちよ。ディア、どっちが早かった?」
「同じです」
「むむ、今度こそケリをつけるわ」
「望むところ」
「じゃあいい。用意、スタート!!」
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「「ぷはー、かちーー」」
(よし! 三人に任せよう)
「ラルフさん、今までありがとうございます」
「いやいや、オリバーの熱意には、負けるよ」
「これから、どうするんですか?」
「北に行く、どこかでディアが進むの止めると思うから」
「そうですか。俺、今度あったら、ラルフさんに認めてもらえるようにします」
「もう、エンチャントなくても充分戦えるよ」
◆
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「あーしゃにょ、きゃち」
「あーの、きゃ、うっぷ、きゃちー」
「じゃあいい。用意、スタート!!」
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「あー、ちゃ」
「あー、きゃ、うっぷ」
「じゃあいい。用意、スタート!!」
(ディア、えげつないな……)
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「あ、らりゅふ、ずりゅ」
「ほー、にゃんじゃ」
「らりゅふ、ほにゃ」
「のみゅ……べし」
「わかった。わかったから、ほら」
僕はそういって、水を九杯用意する。
「じゃあいい。用意、スタート!!」
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「こりゃ、うみゃ」
「うましゅ」
こうしてリリ痴女コンビは無事に? 潰れた。
(オリバーの送別会なのに)
オリバーはもうすでにベッドで寝ている。
「ねぇ、ラルフ、あっちの部屋に行こ」
「うん。わかったよ」
◇
部屋に入るとディアが鍵を閉めた。
「ねぇ、ラルフ、キスしよ」
「えっ」
「あ、あ、そういう意味じゃなくて、魔力を流し込むシミュレーション!」
「そうなのね、わかった。僕から流し込めばいい?」
「うん……」
「じゃあ」
僕はディアの唇から、体の中に魔力が流れるイメージをした。
「どう?」
「うん、ラルフのが来ているって感じる」
「わかった。じゃあ、次はディアからね」
「うん……」
今度はディアの唇から魔力が流れて来るのを感じた。
「わかった。イメージできたよ」
「あのね、ラルフ」
「どうした」
「私、下手みたい」
「そんなことないよ」
「ううん、上手くなりたいから、もっと練習したい」
僕は驚いて、目を見開く。
「大丈夫だと思うんだけど……」
「じゃあ、今度は私から」
頭の後ろにディアの手がきて、顔が急接近し、唇が離れない。
(柔らかい)
「どう? 上手く流れた?」
「あ、あぁ、流れてきたよ」
「今度はラルフの番」
「わかった」
魔力の流れを感じた。
「これで戦闘中でも、もう、大丈夫だね」
「足りない……」
「ま、また今度にしよう。今日これ以上やっても、急に上手くなるわけではないから」
「……うん。……あのね」
「うん」
「リリルさんとリーンちゃんは魔力の補充の仕方知らないから、内緒にしてね」
「?? わかった。内緒にしとけばいいのね」
こうしてオリバーの送別会は何故か? ディアとキスすることで結びとなった。
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