第14話 実践と偽装

「あっ! そうだ、ラルフ。私、神託があったの、北に行きなさいって」

「神託?」

「そう、あれは神様からだと思う」

「ちょっと待ってね」


(北東に行き、国をまたいでルルミア王国、それから北か……)


「どうしたの?」

「うん。これからのルートのことを考えていてね。あとでみんなで考えよう」

「うん」


 ◆


「ラルフさん。俺、もっと強くなりたい。どうすればいいですか?」

「オリバー。基本が大事だよ。型を繰り返し訓練する」

「はい」

「それを踏まえて、実践形式の訓練かな。ちなみに剣と槍、どっちをメインにする?」

「……。わかりません」

「じゃあ、エンチャントでフォローするから、実践で剣と槍を使ってみよう」

「俺、実践経験無いんですけど、大丈夫なんですか?」

「うん、このパーティーなら回復役もいるし、大丈夫だよ」

「ありがとうごさいます」

「実際に戦ってみて、扱いやすい方をメインにすればいいと思う」


 ◆


「あっ、そうだ。ディアいる?」

「はーい、いますー」

「ちょっと来て」


 ◇


「ディア。あのね、ジョブを聞かれたら神官って言わずに治癒師って言ってね」

「聖女って言わなければ大丈夫って思っていたんだけど、何でなの?」

「神官だとまた調べられるでしょ。だから神官よりも多くいる治癒師って言った方がいいんだ」

「でも、強い魔法使うと……」

「大丈夫。僕がエンチャントを何重にもかけているって言えば何とかなるよ」


 ◆


 宿屋の食堂で、今後どうするか話し合う。


「北東の国境まで、馬車で一週間。スレイ達に乗せてもらえば、二、三日で着く」

「ルートはこれでいいの?」

「あぁ、途中、出てくる魔獣はオリバーを中心に戦いたい、経験を積ませる意味で」

「魔獣が見えたら、降りて戦う。それの繰り返し?」

「そうだね。リルルはディルに乗りながらサポート、地上は僕が指示を出す」

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