第13話 私、ラルフの
ディアの救出記念飲み会で、僕は身の危険を感じたのでオリバーを呼ぶことにした。
(さすがにオリバーの前では痴態をさらさないだろう)
話をしてみると、オリバーは小さい頃から剣と槍の稽古をしていて王国騎士団に入ることが夢だそうだ。
そして、リリ痴女コンビはオリバーが居れば下着姿にならそう(期待)。いつになくハイペースで飲んでいるけど。
ディアは教国に来て、自由を奪われてしまい。辛かったそうだ。こうなるのなら前もって逃げとけばよかったと何度も思ったそうだ。
パーティーの事も聞かれた、前衛はリルルがテイムして、後衛に氷の魔女リーンが入り、安定していると。
「ふーん、充実していたみたいね」
「三ヶ月前には考えられなかったよ。体感的には半年くらい経った気分だけどね」
「そっかぁ、いいなぁ。私は窮屈な生活だったから」
「まぁ、また自由になれたんだから、これからだよ。何事も遅すぎることはないって」
「うん、そうだね」
深夜、オリバーは今日のことで疲れきって眠ってしまった。
「らりゅふー。のん、でりゅ?」
「りりゅね、よぱすぎ、あはは」
「りゅ、あちゃいの、つにょいでしゅ」
「あー、のほーぎゃ、つょ」
「あー、つにょいで」
「あー、つょ」
「にゃるか」
「のじょむときょ」
リリ痴女コンビはエスカレートして飲んでいる。
「ははは、まけたゅ、りりゅね、ぬぎゅべし」
リルルが脱ぎだす。
「まきぇない」
リリ痴女コンビは飲み続ける。
「ばー、りー、よゎ」
リーンが脱ぎだす。
「りべーーんじ」
その様子をみて、僕は真剣にディアに言う。
「ディア、隣の部屋に避難しようか。そろそろ半裸になるから」
「うん。そうする」
僕とディアは水を持って、隣の部屋にいく。
「あんな感じなの?」
「珍しいよ。いつも襲ってくるけど、酩酊状態になってくれれば襲われない」
「えっ! いつも……」
「なんで痴女二人はあんなんなんだろ?」
「それはラルフのことが……」
「??」
「ううん、何でもない」
僕は水を飲む。
「あのね。私、後悔しているの」
「後悔?」
「うん、ちゃんと自分の気持ち伝えられなかったから」
「ふーん。そうなんだ」
「自由が無くなって、伝えるのはもう無理かと」
今度はディアが水を飲む。
「あのね、ラルフ」
「うん」
「私、ラルフの――」
バターン
「こきょでしゅか」
「もじょるべし」
酔っ払いのリリ痴女コンビがガツガツと入って来て、僕は手首を掴まれる。
「わかった。わかったから。下着姿でうろつかないで。はいはい、戻るよ」
「わ、私も行く」
リリ痴女コンビの部屋に戻るが、二人は止まらない。
「ありぇ、でぃやた、あ、にゅぎょ、にゅぎょ」
「あー、にゅぎゃしぇるーー」
二人がディアを脱がそうとするので、そうなる前に僕が遮ると。
「らりゅふは、あーの」
「あー、だしゅ」
「あーの」
「あー、だしゅ」
どうやら僕を取りあっているようだ。
「はいはい、二人ともカワイイな。もっと飲んでね」
僕は濃い目のお酒を渡す。
「じゃあ、二人とも、強さをみせて」
「もちゅ」
「りょ」
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「やっぱり敵わないや」
「だしゅ」
「ははー」
僕は水を渡す。
ゴクゴクゴク
ゴクゴクゴク
「こりゃ、うめ」
「うみゃし」
「だよね、体が欲しているんだよ」
「らりゅふ、あちゃい、いぃにょ、ちゅきにち」
「ははは、まきぇない」
二人とも下着を脱ぎ始めたので、数あるコップに水を注いで、リリ痴女コンビの前に置き。
「じゃあ、僕は戻るね。あっ、そうだ。オリバーも連れて行かなきゃ」
◇
翌日
目が覚めて僕は起き上がる。そして、オリバーを起こす。
「オリバー、朝だよ。朝食が待っているよ。先に行っていてね」
オリバーは目を擦りながら起きて、着替えをしてから、先に食堂へと向かった。
コンコンコン
「ディア、起きている?」
「起きているよー」
「朝食を食べに行こう」
「ちょっと、待ってね。準備する」
「お待たせ」
「じゃあ、行こうか」
◆
「たぶん、オーラン帝国と教国は戦争すると思う」
「えっ」
「お互いに聖女が向こう側にいると思って、奪還の戦争をね」
「……」
「大丈夫だよ。ディアが責任を感じることはない」
「自由が無くなり、拘束されるのは、もうイヤだろ」
「うん」
食堂の席で向かい合い、僕とディアは互いを見つめ微笑む。
「あのー、俺いるんですけど」
◆
「うー、気持ちわるい」
「リーン、これでわかったろ、お酒はほどほどにね」
「あたいほど強くないんだから、ペースを考えないとダメしょ」
(お前さ、そんなこと言える? ディアから聞いたよ、先に潰れたのリルルだって)
◆
宿屋を出て、近くのビュッフェで昼食を摂る。
「ルルミア王国との国境は、スレイ達に乗せてもらえば、ここから二日程度だと思う」
「それからはどうするの?」
「ルルミアに入ったら地図を買おうと思う」
「あのー」
「ん? オリバーどうした?」
「国境越えたらカーン領なんです。俺の家に世界地図があるかもしれません」
そして、僕達は昼食を食べ終え、国境へと向かった。
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