第4話 銀髪と紅い瞳の巨乳魔女
「ラルフ、起きんかい!!」
リルルは僕の上に勢いよく覆い被さる。
「ぐふっ」
僕は衝撃で目が覚め、思わず腹をさすった。
(あー、そうか。リルルの部屋で眠ったんだっけ)
「て、て、て、痛いよ。リルル」
「えへ、ラルフにお持ち帰りされちゃった♡」
(お持ち帰りって、そもそも同じ部屋だろ。っていうか、手をだしてないし)
「!! おい! なんて恰好してるんだよ!」
「昨日、介抱してくれたからサービス♡」
「僕がダメなんだよ。リルル、服を着てくれ」
僕は下着姿のリルルに服を着てもらうよう頼んだ。
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
「ん?」
「今日はあたいとデートしない?」
(昨日はいろいろあり過ぎたからな。休息も必要か)
「いいよ。どこ行くの?」
「ゴブリンの巣」
(リルル、それデートじゃなくてクエストです)
「一度行ってみたかったんだよねー」
(観光地に行くみたいに言っているけど違うからね)
「そうだ! ご飯食べたら、買い物に付き合ってくれる?」
「あぁ、ポーションの補充ね」
「違う。ロープを買うの!」
(なんかさ、やりたいこと想像できるよ)
◆
ロープを買った後、ギルドでゴブリンの巣の駆除のクエストがあったのでそれを受けることにした。
「ラルフ、お弁当とレジャーシート用意した?」
(ピクニックじゃないよ。リルル)
「いや、サンドイッチしか用意してない」
「じゃあ、丘の上で休憩だね」
(これ、クエスト受けなかった方がよかったな……)
そんなことを話していると、ゴブリン五匹がこちらに来てくる。
「エンチャントかけるね。どのくらいの戦力になるか確かめたいから」
僕達はゴブリンに先制攻撃をする。ディルの吐く火が炎になってゴブリン達を焼く。スレイが近づいて、唾液を散布する。ゴブリンは動けなくなった。フェイが一撃で止めを刺していく。
「思ったより強いな」
「ふふーん。あたいの子達だからよ」
「きゃーーー」
叫び声の方を見てみると、抵抗している銀髪の女がゴブリンに連れ去られていくのが見えた。
「リルル! 先にディルを行かせて、ゴブリンの足に炎をぶつけて」
「わかった」
ディルがゴブリンに向かって行く、そして、足に炎を吐く。ゴブリンは足元の炎に気が取られ、女を手放す。ゴブリンから解放された女がこちらに向かって走って来る。そしてリルルに抱き着く。
「はぁ、はぁ、はぁ、お願い。ゴブリンをやっつけて」
スレイとフェイが追いつき、ゴブリンを倒していった。
「大丈夫? 怪我しているようだけど」
「大丈夫。ありがと」
僕はポーションを使い、彼女の傷を治していく。
「他にメンバーいる?」
「みんな死んじゃった」
彼女は傷跡を見ながら、そう呟いた。
「ラルフ、この子どうするの?」
「一人で帰すのも、危険だし」
「じゃあ」
「あぁ、クエストを中断して、一度帰ろう」
「僕はラルフ。彼女がリルル。君の名前は?」
「あ、あーしはリーン。あーしのこと気にしないで、クエスト中断しないで欲しい」
そう言った、リーンは銀髪ショートカットで瞳が紅い。控えめに言っても巨乳。体のラインがはっきりとわかるような、魔女の恰好をしていた。
「リルルどうする?」
「そうね。ディルを護衛に付ければ、たぶん大丈夫だと思う」
◆
僕達はゴブリンの巣らしき所にきたので、巣の入り口を見て様子をうかがう。
「ここだな。見張りもいるし」
「じゃあ、ディルがまずやればいいのね」
「あぁ」
ディルが炎で見張りのゴブリンを攻撃。異常に気づいたのか、巣からゴブリンが出てくる。炎を吐いて、ゴブリンを足止めしていく。スレイが散布して、フェイが仕留めていく。
「外はこれだけね」
「あぁ、中に入ろう。ディルは待機で」
巣の中に入って、スレイに散布してもらう。ゴブリン達は次々と動けなくなる。
「攫われた人がいるかもしれないから、救助が先ね」
そして、僕は攫われた人達がいる部屋を見つけ、中に入ったが、見るも無残な姿でみんな死んでいた。
「リルル、リーン、こっちに来ちゃダメだ。親玉を探してくれ」
巣の中の探索を続けるとスレイとフェイが親玉以外をやっつけてくれていた。
リルルは親玉の手首と足をロープで縛っていく。そしてゴブリンを踏みつけ
「この薄汚いブタ野郎め! あたいの足を舐めな」
(リルル、やりたいのはわかったけど、そういう状況じゃないでしょ)
「あーしもやりたい」
(リーン、頼む。お前さん、悲惨な目にあったのかもしれないのよ。やめてくれ)
結局、フェイがゴブリンの親玉を仕留めた。
「リルル、ディルをよんでゴブリンの死体を焼いてくれるよう頼んでくれ」
リルルはディルを呼び、ゴブリンの死体を焼いていくよう指示した。
「すまん、この部屋は僕とディルだけ入る」
そして、横たわる女たちを焼いて弔った。
◆
帰り道、ディル達は楽しそうにしていたが、僕達は黙ったままだった。
「あたいの部屋に来る? 一人じゃ辛く苦しいと思うから」
「……行く」
リーンは緊張の糸が切れ、泣き崩れた。
僕達は立ち止まって、リーンが落ち着くのを待った。
「ぐすっ、ぐすっ、あーし、メンバーに氷の魔女って言われたけど、ウォーターボールと霜柱を作ることしかできない」
「「……」」
「みんな死んじゃった。何もできなくて、見殺しにしちゃった」
仰ぎ見て落ち込んでいるリーンの姿を見て、フェイは彼女に近づいて甘えた。
「ありがとね」
「ラルフ、この子、パーティーに入れない?」
「??」
「傷ついて、一人きりにさせるのは可愛そうだし、ラルフの力で……」
「なるほど。わかった。彼女がいいのならそうしよう」
◆
ギルドに戻り、クエスト達成の報告をする。その後に、リルルは僕とリーンを連れて近くの酒屋へと行った
「なんで? 大量にお酒買っているの?」
「今日は部屋飲みして、リーンちゃんを慰めるのよ」
◆
「じゃあ、今日は弔って呑もっ!」
「リル姉ありがと」
「はいはい、注ぐよ」
宿屋の部屋に戻り、女性陣は仲良くお酒を飲む。楽しそうだ。
「ははは。そうなの、脱いだらこいつ慌てちゃって」
「昨日のことは忘れてくれ」
「ラルフさん、見た目通りシャイなんっすね、ははは」
(まぁ、リルルは昨日みたいなことに、ならないだろう)
「なんか暑くない」
「あーしもそう思う」
「飲み過ぎなんだよ。二人とも」
「あんたと違って、まだまだ、飲めるわ」
「あーしも大丈夫」
(雲行きが怪しい……)
「暑いもうダメ、リーンちゃん一緒に脱ご」
「はーい」
「……、ちょっと出かけてる」
「どこいくのよ」
「そうそう、ラルフさん一緒に飲むべし」
僕のコップにお酒が注がれるが、その場を立ち去ろうとして、こう言った。
「すぐ帰ってくるから」
僕は部屋を出る。小腹がすいていたので、食堂に行き、軽食をたのむ。
(なんなんだ、昨日解散して、今日のこれかよ)
窓越しに外を眺める。
「はぁ」
(そういえばミディア、大丈夫かな)
しばらく外を見つめていた。
ダダダダダダ。ガシッ。
「見つけたわよラルフ」
「あーし達を放って、ひどい」
腕を掴まれ、そのまま彼女達に連行されていく。
「悪い子はお仕置きよ。リーンちゃん、縄で縛って」
「了解! リル姉」
(あぁ、もう勘弁してくれ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます