第3話 side リルル
あたいは男ばかりのパーティーに誘われることが多かった。
最初の方はお金がたくさん入り、貯蓄できていたが、体を求められ始め、パーティーを抜ける。そんなことを繰り返していった。
貯蓄が減り続け、もうそろそろ手持ちのお金がなくなる。そして、今日、パーティーを追放された。最悪だ。これからどうしよう。
不安で泣きたくなるのをじっと堪えて、娼館に行くことも考えた。正直、やりたくない。知らないおじさんに純潔を散らされるのはイヤだ。でも、生活するためには……
「お隣いいですか?」
そんな声が聞こえた。きっとナンパだろう。
「僕はラルフ、ジョブはエンチャンター。さっきパーティーが解散して一人なんだ。もし良かったら、君のこと聞かせてくれる?」
涙が止まらなかった。こんなに惨めな思いをするなら、もうイヤだ。もういい。と泣き続けた。
だいぶ時間が経って落ち着いてきたら、その男はハンカチを渡してくれた。あぁ、こんなに時間が経ったのに、傍にいてくれたんだ。
ありがとうとしか言えなかった。
「どうしたの? 何か大変そうだけど」
声が出せなかった。それでもかなりの時間ずっと傍にいてくれた。やさしい。この人なら苦しみを共感してもらえる。
「じゃあさ、お試しで良いから僕と一緒にクエストやってみない?」
「えっ」
顔を見ると、そこにはやさしい笑顔のイケメンがいた。ラルフって言ってた。
あたいの子達を紹介して、一緒にクエストをする。ラルフは、あたいにアドバイスしてくれたので、スライムとゴブリンをすぐ倒せた。
そして、正式にパーティーを組んで欲しいとお願いした。またパーティーが組めれば、なんとか生活はできるだろう。
それと、あたいが泊まっている宿屋に来てもいいと提案した。襲われることは、たぶん無いだろう。そう勘が言っている。ちょっと試したら、慌てて部屋を出て行った。大丈夫、これからの事に光が見えた。
嬉しくなって、いつもよりハイペースで呑んでしまった。
やさしい彼の背中は温かった。
「ありがとうね、ラルフ」
そう思い、あたいは眠りに落ちた。
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