第3話



風の音が聞こえる。やはり周りを見渡せば緑。だがいつもと違うのは、




横に亘理葵が居ることだ。




「なあ、夏」


「なに?」


「さっきから俺の家と同じ方向に進んでるんだけど」


「そうなの?……あ、私の家ここ」


「……こんな事ってあるんだな」


「何、そんなに家近いの?」


「いや近いっていうか、横」



まさかだった。

葵とは今日初めて逢った。今まで見かけたこともすれ違ったこともない。



「すごい……こんな事あるんだね」


「運命とか言うとなんかくせえけど、偶然かって言ったら、なんか違うよな」


「出逢いて素敵だね」


「うん、今日夏に逢えて、友達になれてよかった。明日からもよろしくな」


「うん、よろしくね」




私は家に帰り、夕飯を食べ、入浴し、明日の学校に備えて準備をした。



そして、今日の出来事を振り返ってみた。



今日は塾に入り、友達が二人出来て、その友達が同じ学校で、横の家で。


今日初めて逢ったはずなのに真希と葵と居ると時間を忘れるほど楽しかった。




もしかしたら私のつまらない日常を

彩ってくれるのはこの二人なのかもしれない。少し期待をして目を閉じた。





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