第42話 東証大号令


2023年現在

全財産276兆1000億円

年間配当金5兆9000億円

現金10兆9000億円






俺がM&Sデバイスを大量購入したおかげでM&Sの利益は急拡大した。



それに合わせてM&Sの株価も上昇。



さらにM&Sデバイス生産のために大量の素材が必要になったのだが、これはソシエダート・チリの利益に繋がった。



同時に俺の資産も上昇した。





引き続き、俺は1000万台のM&Sデバイスの発注は続けていた。



貧困のせいでM&Sデバイスを購入出来ない人々にも徐々に行き届き始めた。



この「大富豪によるM&Sデバイスばらまき案件」は盛大なマッチポンプだと世界中から非難を浴びたが、この世界における法律上の問題は無かった。



しかも、想像した通りの"副作用"が始まろうとしていた。






バブル崩壊以降、日本企業は利益を上げてるのに株価が上がらない逆転現象が起きていた。



その結果どうなったか?



毎年1000億円の利益を上げ、純資産1兆円を超えるような企業の時価総額がたったの5000億円程度に成り下がってしまったのだ。



毎年1000億円を生み出し、1兆円の資産を持つ会社が、たったの5000億円で売りに出されている。なんとも馬鹿げているだろう?



普通、1000億円の利益と1兆円の純資産を持つような企業は少なくとも1兆円以上の時価総額になっていないとおかしいのだ。



時価総額世界最大のM&Sの年間利益はおよそ18兆円、純資産は85兆円。それに対して時価総額は今年1500兆円を超えた。年間利益の80倍以上の時価総額だ。でも、これくらいが本来の企業価値だと言える。



だが日本の企業はあまりにも"割安"のまま放置されてきた。



そこで去年、東京証券取引所がPBR1倍以下の企業に対し、是正勧告を発令した。



「全ての上場企業は純資産と同程度の時価総額になるように努力せよ」という意味だ。



その上、東京証券取引所は「もし具体的な解決策を講じることができない、あるいは是正できない場合には上場廃止も視野に入れて検討する。」という極めて厳しい措置を取った。



「上場廃止」という禁止カードを使用されたことで、今まで内部留保を溜め込み、保守的で堅実な経営を行ってきた日本の企業群の尻に火がついた!






老舗の時計メーカー「シタズン」は、保有現金の50%を使って自社株買いを決行。その金額は発送済み株式数の約25%に上った。



また、自動車メーカー世界一の「モリタ」や、家電大手の「月立」もこぞって数千億円単位の自社株買いを行った。



さらに、富士川銀行・第一観銀行・八川中央銀行・四菱銀行の4行が合併して出来上がった世界最大級のメガバンク「四菱UFJフィナンシャルグループ」は1兆円の自社株買いと、従来の2倍に相当する配当金増配を実施。



自社株買いや、増配といった政策によって、企業が持つ内部留保が一気に減少。これによって企業が持つ資産に見合った時価総額に近づいた。





日本を代表する大企業だけでなく、古い体質の企業までもが一斉に株価対策を始めたのだ。



これに注目したのが莫大な資金力を有する海外投資家だった。



円安も追い風となり、海外投資家にとって日本株が異常なまでに割安に見えたのだ。



毎週1兆円を超える買い注文が殺到した。特定の株ではない。割安な日本株全てを買いまくったのだ!



当然株価も上昇する。

しかしそれでも日本株はまだまだ安過ぎた。



上昇を確認した日本の投資家がさらに買い注文を入れる!日本企業の株価は鰻登りだ。



しかし一旦、買いが収まって市場が動かなくなった。


ここで、すかさず俺が5兆円の資金を投入。



世界一の投資家が5兆円も投資したというニュースがさらなる日本株への投資ブームに火をつけた。



世界中の投資家が割高になった米国株から資金を引き上げ、それを割安な日本株に差し向けた!



次々と日本の株式に資金が流入していった。それは上昇していない銘柄が完全に無くなるまで続いた。






ここで最も利益を得たのが「日本証券取引所グループ」だ。日本の株式市場にかつてないほど資金が流入したからだ。



そしてその恩恵を最大に受けるのが筆頭株主の俺だ。



この年、日本証券取引所グループの株価は3倍に急騰した。さらに配当も3倍に増配。



また、俺の資産が増えてしまうな。

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