第41話 人類への投資

2022年現在

全財産230兆5000億円

年間配当金4兆8000億円

現金15兆9000億円






「アレックス、聞こえるか?アレックス。」



「オーナー!久しぶり。どうしたの?」



「ちょっと相談というか、頼みを聞いてくれないか?その、、、第3世代M&Sデバイスを1000万台購入したい。」



「・・・は?」



「マジだ。1000万台。買わせてくれ」



「あ、それは良いんだけど。1台いくらするか知らないわけじゃないよね?50万円よ。1000万台ということは5兆円。大丈夫?」



「ああ。現金一括払いで良い。」



「そ、そうね。。あなた資産額忘れてたわ。ただ、今在庫が足りないから少なくとも納品には半年はかかるわよ」



「構わない。」











1台50万円の第3世代M&Sデバイスは貧困層にはとても手が出ない。



しかしM&Sデバイスを買えない人間と、買える人間とで格差が広がっている。買える人間は労働をクリエイティブAIに任せ、人生設計や個人資産の運用などもAIに相談することができた。



また知識が無い場合でもAIがベストな選択肢を与えてくれる。例えばインフレ率の上昇が確認されるとデバイス使用者に資産運用を勧めたり、経済的に困窮した場合には利用可能な社会保障制度を自動的に案内してくれる。さらに面倒で複雑な申請書の記入や必要書類の取得まで代行してくれる。AIは完璧な秘書になってくれるのだ。



知識がある人ではなく、情報に疎くて知識がない人にこそM&Sデバイスは必要なんだ。



だが現実には、そういう人はM&Sデバイスを購入する資金がない。


資金が無いから生きるために自ら労働をせざるを得ない。


スキルや専門性の低い仕事しか出来ない彼らは賃金も低い。


低い賃金を補うために長時間労働をする。


だがいくら長時間労働しても物価の上昇スピードがそれを上回る。だからいつまで経っても彼らはM&Sデバイスを買えないのだ。



その負のスパイラルを打ち破るために、俺の金が役に立った。



俺の年間配当額は約5兆円。つまり、年間1000万台の第3世代M&Sデバイスを貧困層にプレゼントすることができる。







創始学会の信者たちにお願いし、2022年度は1000万台を配布することに成功した。



これで日本国民の80%がM&Sデバイスを所有することになった。



あと2000万台で100%だ。2年後には全国民がM&Sデバイスを持つようになる。





『魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える』



その1番良い方法がM&Sデバイスの普及だった。





そして俺はこの年、日本の時価総額上位100社を集めたJPZ100インデックスファンドを4兆円分購入した。



日本の大企業100社にまとめて分散投資するのが狙いだ。



さらに、東京証券取引所・大阪証券取引所を傘下に持つ「日本証券取引グループ」の株を1兆円分購入。



これによって、俺は日本の証券取引を牛耳る組織のオーナーになった。

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