第25話 日本一の資産家


1995年時点

全財産3兆1500億円

年間配当金43億6000万円





M&Sの有価証券報告書には俺の名前が載っている。発行済み株式数の約8%を保有している大株主だからだ。ちなみにこれはCEOのアレックス個人の持ち株よりも多い。



近年の株価の上昇によって、俺の資産が一気に1兆円を超えて、さらに3倍になった。1日に数千億円上昇する日もあった。複利の力は偉大だ。





突然、俺のアパートに朝月新聞社の記者がやってきた。


「日本一の金持ちのあなたに取材させてください!」



・・・断った。



しかし、その日の夜、今度は読買新聞社の記者がやってきた。


「投資の神様に取材させてください!取材させていただけたら取材費用もお支払いいたします!」



・・・それも断った。俺はお金じゃ釣れないぞ。

それになんだ、「投資の神様」って。



なぜ記者が俺の資産を知っているのか?簡単だ。


企業が公表している有価証券報告書を見れば、大株主がどれほどの株式を保有しているかが一目瞭然だからだ。


時価総額世界第1位の企業となったM&Sの筆頭株主である俺は、自動的に世界有数の金持ちということになる。




俺は何にもやっていないんだ。ただ、株を買っただけなんだ。取材を受けたらボロが出てしまう。詳しいことはアレックスに聞いてほしい。








そんな時、アレックスから個人的に連絡があった。


「ハロー。久しぶり。」



「あ、あ、あ、アレックス!ど、ど、どうした?」



「最近誰とも会話してないでしょ?言葉が難しかったら意識共有する?ww」



「あ、いや、急に連絡が来たからビックリして」



「良かったら、またウチのオフィスに来てよ!次は研究室を案内してあげるから。」



「それは面白そうだな!ちょっと待って、飛行機の便を探すから、、えっと、、」



「そんなことしなくていいよ!私のプライベートジェットを手配してあげるから。」



「プ、プライベートジェット?!そんなお金持ちしか乗れないようなもの、大丈夫だよ!遠慮するよ!」



「あなたね、悪いけどウチの会社があなたに支払ってる年間配当金で余裕で買えちゃうからね。いつまでも貧乏人気分はやめて!」



「あ、そう言われればそうか。配当金を投資以外で使うなんて考えたこともなかったよ。」



「まぁいいわ。今日か、明日どっちがいい?」



「気が早いなぁ。。じゃあ今日にする。暇だし。」



「オッケー!じゃあちょっと待っててね。」







アレックスに言われたことは無視して、プライベートジェットは買わずに、この年もせっせと株式を購入した。


コクコーラ、マルドナルド、ユニックスヘルス、ユニオンアトランティック、S&Tグローバルの5社にそれぞれ10億円分投資した。

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