第5話 銘柄分析


全財産420万円



決意は固まった。あとはどこに、いくら投資するかだ。


安い手数料で日経平均株価にまとめて投資できる便利な投資信託なんて、この時代にあるわけがない。



自分で銘柄選定した「個別株」

これしか無いんだ。



個別株を分析するには、本屋に行かなくては。


会社四季報が必要だ。いつの時代も、頼りになるのはこの本なんだよな。







俺は1週間かけて会社四季報を隅々まで読み込んだ。この世界にはどんな会社があるのか?売上は?利益は?財務状況は?ビジネスモデルは?



「今が絶好の買い場、早く株を買いに行きたい。買い場が逃げていく。」



焦る気持ちを抑えて、とにかく銘柄を分析した。株式投資の成績はこの銘柄分析にかかっているからだ。




元の世界の感覚で考えちゃダメだ。スマホも、家庭用PCもない。ゲーム機もないし、オンラインという概念もない。



・・・


"今の日本に必要な物"を売っている会社はどこだ?





人口は増え続けている。

→住処やオフィスを提供する不動産会社



生活はまだまだ不便。

→生活を便利にする家電を作っている会社



道路の整備に伴い、移動する人が増えてきた。

→一般人が自動車を買うようになる。低価格の自動車を販売する企業



エネルギー不足

→人口と自動車が増加するならば、エネルギー需要は高まっていくはず。石油関連企業。





まずはこの4つに絞った。

①不動産

②家電メーカー

③自動車

④石油



①不動産

地方ではなく、東京の不動産を多く持つ企業が良い。最終的に企業は首都である東京に集まってくる。その企業に人は集まってくる。だから、東京の土地を多く持つ企業。戦後最大の財閥となった、「四菱」

「組織の四菱」と呼ばれる強い結束力が特徴の企業だ。



②家電メーカー

日本を支える主婦が一番欲しがっているのが冷蔵庫だ。これがあれば、生鮮食品を2日以上保たせることができる。ちょうど給付金の5万円以内で冷蔵庫を販売している家電大手、「月立」

傘下の子会社から部品を調達しているため、利益率が高い。



③自動車

部品が多い自動車業界は大手ほど有利になる。大量生産することでコストを抑えることができるからだ。しかし不景気の現在、逆に売れない大量の在庫を抱えて窮地に陥っているのも事実。日本最大の自動車メーカー「モリタ」

在庫が捌ければ一気に売上を伸ばせるだろう。



④石油

石油開発の利権を持っているのは国内で1社しかない。「帝王石油」




あとはこの4銘柄にいくら振り分けるか。

仮に読みが外れてしまっても2年間は生活できるように24万円は現金で残しておきたい。


残りの396万円を均等に4分割した99万円で、段階的に購入していく。


まずは明日、取引所に行って購入してこよう。

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