とうとう

「あぁ仕事を辞めたい」信二はそう心の中でつぶやいたつもりだったが実際には声に出ていた。朝起きるのが毎日つらい。でも、何も変わらない現実。本当の意味では誰も助けてくれないんだな、と信二は気づいてしまった。そう、大人になると誰も助けてくれないのだ。信二は打ちひしがれていた。信二は今まで色々やってきた。禁煙してみたり、酒を断ってみたり、ランニングを始めてみたりしてきた。自分を変えたかったのだ。強くなって鈍感になってこんなに毎日くよくよしないで生きていけるようになりたいとその気持ちだけが信二を突き動かしていた。

だが信二の願いは虚しく日々不安とイラつきが増していくだけだった。

信二はとうとう仕事をさぼった。

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