憂鬱

初日からやらかした信二は憂鬱さを抱えながら努力した。電話を受け取った時は必ず相手方の名前を聞く様にし常にメモを常備した。家に帰ってからも明日の仕事のシミュレーションをしていた。だがやはり仕事は出来なかった。電話対応で相手の名前を聞いても相手の名前が聞き取れず何度も聞き返して相手をイラつかせた事も何度もあった。次第に電話対応は信二にとって苦痛になっていった。信二はコミュニケーション、特に突発的な対応や自分がわからない事を聞かれるとパニックになってしまうよになった。文字通りパニックだ。手が震える、顔がピクつく、それを抑えようとしても全くコントロールできないのだ。そして上司は悪増(ワルます)と言う異名を持つ増生係長だったのも災いした。増生係長を見る度に憂鬱になっていった。信二は仕事を辞めたかった。

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