ラストダンジョン編

第240話 亡き王子の墓参り

 ジョハリが魔王になってから、約六年後。

 偶像城の後ろにある墓地で、ジョハリとニハ王が墓参りをしていた。

 ジョハリは、今十七歳。

 来月の四月一日には、魔法少女を卒業となる。

「うん…………」

「うん…………」

 ジョハリとニハ王は、芝生の上で手を合わせながら低い墓地でお祈りをしている。

「うん…………思い出すわ。ニニとニロと一緒にゲームをしたこと」

「ああ。水に沈んだ弟達の遺体は、魔王ジョハリの力を持ってしても生き返ること無い。しかし、もし、今でも生きていたら、ジョハリと一緒にゲームををしたいな! 」

「うん…………」

 ジョハリとニハ王は、ゆっくりと立ち上がって別の話をする。

「そう言えば、ジョハリはもう直ぐ魔法少女じゃ無くなるんだろ? 」

「そうよ! 」

「今後のことを考えた方がいいんじゃないのか? 結婚とか……」

「まだ未婚なのに、結婚の話とはね! そのあごひげは、何なのかしら? 」

「あ…………あごひげは関係ないだろう! 」 

「冗談よ! 今のところ、グラロウとビード、叶と米根夫、フィロと頂天はすでに結婚しているわ。あたしは、最難関のクエストをクリアしてからセヴァと結婚しようと思うの」

「さ、最難関!? 」

「そうよ! 」

 ジョハリは、『開放』と書かれたバッグから赤黒い紙を取り出した。

 そこには、『裏守張駅 十億円』。

 魔法少女少女駅の地下ギルドで見つけた依頼書だ。

「お昼を食べ終えたら、あたしは裏守張駅へ行くの」

「裏守張駅って、魔法少女市にはないはずの幻の駅だろ? そんな、ところにどうやっていけるだ? 」

「白い電車よ! 」

「白い電車? 」

「そう、桜方無間駅で青い電車ではなく白い電車に乗れば、裏守張駅に行けるわ! 」

「魔法少女卒業に相応しいクエストだなぁ」

「うん! 」

「ジョハリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ! 」

 話が終わった後、ジョハリの後ろからセヴァがやって来た。

 恥じらいだからか、レインコートの下に青いワンピースをしている。

 待ちくたびれたのだう、耳に響くほど叫んでいた。

「偶像城駅で待っても来ないから、来たよ! 」

「ごめんごめん! ニハ王とと話に夢中になっちゃった」

「オレも、もう直ぐ魔法少女卒業だからね。最後のクエストにはりきって行こう! 」

「うん! 」

 

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