第234話 炎の塔(ダイヤルパズル)

 炎の塔十階。

 螺旋階段を上った米根夫と叶は、最後の関門に辿り着いた。

 それは、柱と一体化した金庫のパズルである。


 ダイヤルパズルのルール


 上から時計周りに赤、白、青、黒のくぼみがついているダイヤルがある。

 数字の順番に従ってダイヤルを回せ。

 最終的に一番下のくぼみを押せ。


 指示

 ①赤→白

 ②黒→赤 

 ③青→白

 ④白→赤


「うえ…………」

「どうしたの? 米根夫? 」

 米根夫は、ダイヤルパズルを見て表情が固まった。

 彼は、数字の大小がよくわからない。

 ①が先か?

 ④が先か? 

 ②が先か?

 ③が先か?

「わかんねぇ…………」 

「え!? わかるでしょう? 」

 叶は、床を叩きながら米根夫を攻めた。

 しかし、順番通りに見える叶の考え方とは違い、米根夫には数字が複雑なのである。 

「もう、頂天に勝てなくなっていいや」

 彼は、もう魔法少女になることを諦めかけていた。

 しかし、叶は彼氏のピンチを見過ごすことはない。

「米根夫。諦めないで! あたしのものまねをしない! 」

「も、ものまね? それなら、楽勝だな! 」

「うん! 」

 米根夫は、叶の人差し指を見ながらダイヤルを回した。

 最初は、赤から白。

 次に、黒から赤。

 次に、青から白。

 最後に、白から赤。

 そして、ダイヤルの一番下を指差した。

「よし、青だ! 」

 米根夫が青いくぼみを押す。

 すると、金庫がガタッと音を立てた。

「よし、開けよう! 」

「うん! 」

 米根夫は、ギギイッと音を立てながら重い扉をゆっくり開ける。

 そして、赤い木目の棚が現れた。

 そこには、銀色の指輪がと紙切れが一枚置かれている。

「これは? 」

 米根夫は、紙切れに書かれた文字を読む。

 そこには、亡き梅星塩道にかんすることが書かれていた。

「『焼握頂天へ この指輪を米根夫に渡してくれ。 梅星塩道より』。焼握頂天? 」

「え!? 」

 米根夫達は驚いた。

 塩道が亡くなる寸前に、頂天が炎の塔に来ていたのだ。

「おい、頂天の野郎ぉ。あんな化け物だらけの塔に一人で挑むなんて、なかなかの根性だぁ。今度あったあったら褒めてやるよぉ! 」

 米根夫は、頂天へ手紙をポケットの中にしまった。

「じゃあ、早く報酬を取りに行きましょう! 」

「いや、その前に、マモンの様子を見に行こう! 」

「一緒来ていたね。合流しなくちゃ! 」

「それ、オレが手に入れた魔法少女の力はどんなものかはわからない。もし、黒い仔犬がまだいるなら戦うぞ! 」

「魔法の確認。あたしも楽しみね! 」

「ああ! 」

 米根夫は、銀色の魔環を右の小指に入れた。

 そして、叶と共に螺旋階段を駆け下りる。


 

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