第14話 魔神成学園(離)

 ジョハリ達は、一階の教室へやって来た。

 グチャグチャに積まれた机の部屋の中に、白いロボットが一台いちだいっている。

 そのロボットは、人型だが頭がない。

 大きさは、ジョハリと同じぐらいである。

「ここが、第五関門だいごかんもんのようね。おっ! 」

 ロボットが起動きどうした。

 起動して直ぐに、華麗かれいなバク宙を見せた。

 その回転数は、三十回。

「わたしの名は、マカリー。対魔法少女たいまほうしょうじょロボット。第五関門は、わたしを倒してください」

 第五関門が始まった。

 最初に、マカリーが両腕を前に出した。

「ブーメラン、発射! 」

 マカリーの腕から、くの字型の白いブーメランが飛ぶ。

「ゴースト! 」

 ブーメランは、ジョハリの体を貫通。

 戻ることなく、そのまま木目の床に落ちた。

「もはや、ブーメランですらないです」

「そうね。デニッシュ」

「次の攻撃。ペットボトルミサイル発射! 」

「み、ミサイル? 」

「ダンジョンごとオレらを潰す気か! 」

 ポォーラはカッター、ルミノルは菜箸さいばしみたいなステッキをマカリーに向けた。

 しかし、背中から放たれたペットボトルミサイルは、天井てんじょうつらぬくことなくマカリーの上に落ちた。

「うわぁ……うわぁ……」

 マカリーは、全て武器を出し尽くした。

 ジョハリ達の反撃が始まる。

「デニッシュ、パン」

 魔法を準備した後、デニッシュはマカリーにフライングディスクを見せる。

「大魔法『層状デニッシュ・ロール』」

「バグ発生……バグ発生……ぶしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 マカリーを、大きなデニッシュロールにえ。

「それじゃ、切るよー」

 ポォーラが、カッターで二十等分にじゅっとうぶんに切り。

「サモン! 」

 ジョハリが、召喚しょうかんした袋で小分けにした。

「うーん……」

 しかし、デニッシュは少し気になった。

「ルミノル様は、パンを切らないんですか? 血の魔法を使えば、ステッキを刃物に変えられるのに……」

「オレの魔法を使うと、血の付いたパンになる。食べられるのが、オレだけになるだろ」

「みなさんで食べたいですもんね。デニッシュロール」

 すると、黒板の上ある長方形のスピーカーからアナウンスが流れた。

「第五関門クリア、おめでとう。このダンジョンの最終ボス『魔神成ましんなる 博士はかせ』の挑戦権ちょうせんけんあたえます。体育館へお来しください」

「ダンジョンは、もう、最後なのかぁ」

「寂しいな……」

「パンは、バッグしまったわ。体育館へ行きましょう」

「はい! 」


 魔神成学園体育館ましんなるがくえんたいいくかん

 木目の床に五色の線が書かれている長方形の部屋。

 魔神成博士は、ジョハリ達から三十メートル先の舞台に立っている。

 魔神成博士は、金髪のロングヘアーと白衣と黒いTシャツ青い短パンをしている。

 おっぱいは、ジョハリ三倍だ。 

「よく、来たな。挑戦者。いや、魔法少女。最後は、あたしと、あたしの目の前にある、八台の飛行ロボットが相手だ」

「ふふん……」

「ふふ……」

「へへぇ……」

「うん……」

「何がおかしい? あたしを馬鹿にしたことを後悔してやる」

 魔神成学園の最終ボスとのバトル始まった。

 魔神成博士は、右手を前に出して白いロボットを起動させる。

 十六枚のプロペラが、クルクルと回り出した。

「発進! 」

 そして、ジョハリ達の所へ飛んでくる。

「打ち方、始め!」

 白いロボットが、ジョハリに向けてジョハリ銃を乱射。

「やっぱり、そうなのね」

「そうだったね」

「ああ」

「はい」

 ジョハリ達は、すでに予想が付いていた。

 ジョハリ達が当てられているのは、実弾ではなく百均ひゃっきんで売っているBB弾。

 パズル作りでよく買うアイテムだ。

 ジョハリ達には、その痛みに耐性が付いている。

「では、反撃ね。デニッシュ、お願い」

「デニッシュ、パン! 」

 ジョハリは、右手。

 ポォーラは、カッター。

 デニッシュは、フライングディスク。

 ルミノルは、菜箸みたいなステッキを白いロボットに見せた。

 そして、呪文を叫ぶ。

「チェンジ! 」

「ギアクラッシュ! 」

「大魔法『層状デニッシュ・ロール』」

「大魔法『血娘ちむすめしずく』」

 ジョハリの魔法にかかったロボットは、バッグ。

 ポォーラの魔法にかかったロボットは、スクラップ。

 デニッシュの魔法にかかったロボットは、デニッシュロール。

 ルミノルの魔法にかかったロボットは、大量の血液に変えられた。

「なかなかやるな、魔法少女。しかし、四台は熊避くまよけスプレー搭載とうさいだ。これで、あんた達の目をつぶしてやる」

 魔神成博士は、左手で黒いロボットを起動させた。

 十六枚のプロペラが、クルクル回り出す。

「発進! 」

 そして、黒いロボットがジョハリ達の所へ飛んでくる。

「新しい魔法をためす時間ね」

 ジョハリは、黒いロボットに両手のひらを見せた。

「バグ! 」

 すると、黒いロボットが方向転換ほうこうてんかん

 魔神成博士の方へ飛んで行った。

「ううん? ぶ……ぶわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……大好きロボットにやられるなんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

 黒いロボットが、熊避けスプレーを発射。

 魔神成博士は、雲の中にいるような状態で大きなおっぱいを振り回す。

 そして、五分後。

 スプレーが空になる。

 魔神成博士が、おっぱいを上に向けたの状態で現れた。

 しかし、目が開かない。

「や……ばい……」

 ジョハリは、少しやり過ぎた。

 ひょっとしたら、失明しつめいさせるくらいまでロボットを暴走させたかもしれない。

「三人は、ここで待ってて。あたし、行ってくる」

 ジョハリは、魔神成博士がいる舞台へ行った。

 そして、両手のひらを下に向けて呪文を叫ぶ。

「ヘルスケア! 」

「う……うう……う……うう……」

 魔神成博士が、目を開けた。

 潰れた目が、元に戻ったのだ。

「まさか……敵である……魔法少女に……助けられるとはな……魔法少女達よ……あたしの負けだ……今から……報酬の……飛行ロボットを……渡そう……」

 魔神成博士は、右足左足の順に立ち上がり、体育館の反対側の研究室へ行った。


 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る