第4話 過去との決別

第四話




間宮のコックピットに乗り神経を接続する。

激しい痛みが一瞬身体を走る。


「はぁ、いける」


そして歩き出す。

夜の森林の中、山の中を巨大兵器達が移動していくのは奇妙な光景だ。

多田野がオープン通信で通信をする。

第一防衛ラインで待っていると通信を入れる。

霧崎の部隊が現れた。


『そこの純白の機体、新型か?』


「あぁ霧崎、お前のために試作段階だが使わせてもらえた」


『そうか...部下達に告ぐ手を出すな』


両者共に刀を構える。

刃がぶつかり合い。

そして火花が舞う。

互いが反動で吹き飛ぶがすぐに体制を立て直し。また刃が混じり合う。

多田野は射撃してくる洲崎を斬りさく。


「今は俺たちの戦いだ...」


『そうだ多田野!!分かってるじゃないか』


霧崎機の斬撃が風を斬る。

重々しい音が辺りに響き渡る。





____________________


破壊されたコックピットの中。気絶していた霧崎が目を覚ます。


「ここは?コックピット...東京...!!そうだ多田野たちは?」


通信機のボタンを押すが繋がらない通信機は壊れていた。


「くそ...」


コックピットから顔を覗かせるとセレスが小級中級と多数徘徊していた。




多田野は安全圏で補給をしていた。


「まだ終わらないのかよ...」


『落ち着いて多田野』


亜里香の声しかしその声すら今の多田野にとっては雑音にしか聞こえない。


「落ち着いていられるか!!!!早くあいつを助けねぇと...!!」


『本部より戦場にいる者に通達する私達はこれからセレスを排除する為の爆弾を投下することを閣議決定した。被害範囲予測地点をそちらに送る補給地点にいる者は待機、被害範囲内にいる者は後退しろ』


多田野は補給管を外して機体を加速させる。


『どこに行く気だ!!』


部隊のリーダーからの通信が入るが気にしない。

更に加速する。


『多田野機、規定速度をオーバーしてるわ!減速して後退を!!!!』


多田野は爆弾が空から落ちてるのを視認していた。


「辞めろぉ!!!まだぁ!!!!」


多田野を追って来ていた機体に脚部を撃ち抜かれ機体が転倒した。コックピットに衝撃が伝わり直後に通信機から『人騒がせが...』とリーダーの声が聞こえて気を失う。




「何だ...あれ...」


空から降ってくる物体を視認した霧崎は本能的にコックピット内で伏せる。

爆発音と同時にコックピットが吹き飛ばされる。




____________________





『あの時、俺は難民に助けられた!!だから今こうして立ち上がった!!俺はこの世界に革命を起こす!!』


「俺は...どうしたら良かったんだ?あの時...」


『.....』


「俺は...お前に殺されるんだったらそれでいいって思ってたんだ...」


多田野は武器を地面に下ろしコックピットを開く。


『何!?』


「あの時...俺は力不足でお前を助けられなかったんだ本当にすまない...俺がもっと...強かったら....」


『そうやって思ってくれてたのか.........お前に会えてよかった.....』


霧崎機が構えた武器を下ろしてコックピットを開く。

多田野は霧崎を見て驚く霧崎は泣いていた。


「やっと謝れた」


『生きていたのが嬉しかったよ、だが政府がしていることは変わらない俺は今の腐った日本を変えて奴らに悔い改めさせる』


「そうか...じゃあ」


「「戦おう」」


武器を構え直す。

コックピットを閉じてモニター越しに見る。


『「行くぞ」』


互いに加速をして刀を振るった。

多田野は右腕に激しい痛みが襲う。

霧崎機を見るとコックピットが斬り裂かれていた。


『難民よ...すまない...何も.....できなかった.....』


機体が炎に包まれて爆発した。


「霧崎...どうして...どうしてだぁぁぁ!!あああぁぁぁぁぉぁ!!!」


多田野は涙を流した。

亜里香はその通信を司令室で聴きながら一粒の涙が出ていた。

戦いが終わりテログループは投降して軍に捕まり法的な処置がとられることになった。


多田野は基地の屋上で遠くにある山を見ながらコーヒーを飲んでいた。


「隊長...」


「浪川、どうしたんだ?」


「今更なんですけど、どうして体を改造したんですか?」


「こうすることでしか奴と互角に戦えなかった...それだけだよ」


「そうなんですか...まぁ無事生きて戻れたんですし食堂に行ってご飯でも食べましょう!!」


「んじゃ行くか...!」


コーヒーを飲み干して浪川についていく。

霧崎直人が起こした事件は多田野の記憶に深く刻まれた。

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