第2話 青ヶ島奪還作戦
第二話
施設内に警報が鳴り響く。
多田野はすぐに筋トレをやめて向かう。
作戦室の扉を開けると浪川達が既にいた。
「早いな...」
「多田野隊全員揃いました!」
北条が多田野の代わりに言う。
他の隊も徐々に揃ってきて作戦の説明が始まる。
「青ヶ島奪還作戦の内容を説明します」
室内がざわめく。
「青ヶ島のセレス基地は世界で五番目にでかいセレスの基地です!それを薩摩数十機で破壊なんて」
「違うわよ」
「亜里香!?」
多田野は目を見開く。
普段は亜里香は作戦室には来ない。しかし。今日は違う亜里香の隣に女の子がいた。
浪川達とほぼ変わらない身長から高校生くらいだろう。
「今回の作戦は新型を投入するわ、その名は早瀬...大型のバトルフェルムで世界初の大型ビーム砲を備えたバトルフェルムよ」
スクリーンに画像が映し出される。
早瀬の写真だ。
大型のバトルフェルムで操縦を一人でこなすのは至難の業だろう。か弱そうな少女が早瀬のパイロットになっていることに周りは驚きを隠せない。
「操縦は神経接続で動かす」
「神経接続?」
西園寺が聞き返す。
「体を機体と繋げることによって脳内でイメージした通りに動くのよ。で。早瀬を貴方達には護衛する任務が与えられたわ直ちに着替えてきて」
パイロットスーツに着替えてデッキに来る。
「多田野隊長...わたしたちって死ぬんですか?」
浪川が言った。
「さぁな、今回は総力戦だ」
「総力戦.....」
「奴らも本気で来るだろうだから油断はするな...」
「浪川は死ぬのが怖いの?」
北条が聞く。
「怖いに決まってるじゃない!!」
「わたしは怖くないよ」
「え?」
「どうせ幼馴染の下へ早く行きたいし、だけど死んだ幼馴染の仇を取るためにセレスを殲滅する。だから死のうが生きようがわたしはどうでもいい」
「西園寺はもうコックピットに乗ったようだ俺達も乗るぞ」
「「了解」」
輸送車のコンテナに薩摩が収納される。
国道を走っておりガタンっ!ガタンっとコックピットにも揺れが伝わってくる。
マップの画面を見ると東京跡を通過したようだ。
そして港に着き戦艦に収納されいよいよ青ヶ島に向かって行く。
『多田野隊長』
「西園寺かどうした?」
『隊長はどうしてパイロットなんかになったんですか?』
「招集されてなっただけだよ」
『逃げたいって思った事は?』
「あるよ、でも今はないかな...」
『え?』
「首都崩壊事件の時に市民を守れなかったその怒りが今の俺を作ったんだ」
『隊長はすごいですね。わたしはこの前の戦いの時に向かってる最中に逃げたいと思いました、けど今は...逃げるわけには行きません人類の勝利のために戦いたいと思えたから』
「そうか...」
その時、オペレーターの通信がくる。
『青ヶ島全土にセレスの生体反応を確認我々が来ることを予想していたようです、すぐに出撃できるようにしてください』
カタパルトに配備される。
隣のカタパルトには浪川機が配備された。
横に綺麗に並んだ戦艦からも機体が続々とカタパルトに配備されて行く。
「いよいよか」
戦艦の砲台から砲弾が発射されて青ヶ島に着弾する。
『着弾確認!!全機出撃せよ繰り返す全機出撃せよ』
「行くぞ!」
真っ先に多田野が出撃する。
後ろから続々と機体が跡を追う形で出撃する。
何十機もの薩摩が青ヶ島に向けて飛び立つ。
『ーー部隊青ヶ島に着陸『ーー部隊セレスを確認数が計り知れません!『全機発進全機発進『基地を確認『全機システムに異常なし『湯川隊。交戦を開始
「よし、早瀬を出撃体制に入らせて」
亜里香の指令により。
空中の輸送船のハッチが開く。
「うぉぉぉぉ!!」
バトルフェルム用アサルトライフルでセレスを倒していく。
周りは血だらけになりセレスの死体が転がっている。
しかしこれだけ倒したのに数は減らないそれどころか増えてくばかりだ。
『大型級二体確認!!』
「大型級!?」
浪川は驚く、実戦で見るのは初めてだ。
大型級は多田野達に迫ってくる。
「浪川機、北条機、西園寺機、物量で倒すぞ!」
多田野機が飛翔したのに続いて続々と浪川機達は飛翔していく。
大型級に弾を集中して浴びせて撃破する。
大型級の真下にいた中型級や小型級は下敷きになる。
小型級の死体の上に着陸した多田野機は迫ってきたセレス達を蹴散らす。
『早瀬機!投下!周囲にいる機体は着地点から距離をおいてください!!』
空中で脚部や腕部を展開する早瀬。
そして地上に着陸した瞬間衝撃波が伝わる。
「よし!早瀬を護衛するぞ!!」
多田野隊や他の隊も早瀬機を取り囲みセレス達を倒していく。
「あいつの仇ぃぃぃ!!」
北条は理性を保てなくなり叫びながら戦っていたが。
横からの攻撃でバランスを崩す。
「北条!今助ける!」
「っ!」
二人も助けに行こうと動くが周りのセレスがそれを妨害する。
『早瀬機、エネルギー溜めに入りました』
北条機がセレスに抑えられて身動き一つ取れなくなる。
多田野機がセレスを倒しながら北条機に接近する。
「動作を受け付けないっ!!」
北条は操縦桿をがむしゃらに動かすが圧力により腕も動かせなかった。
ガンッ!ガンッ!
コックピットを叩く音がする。
北条の視界に映るモニターにはセレスが張り付いていて爪でコックピットを破ろうとしてるのがわかる。
北条は目から何かが溢れて来ることに気づいてはいない。
「北条!!!」
『きゃあああ!あ....ぁぁぁあああた___ぁぁあ!____ー_----_』
断末魔が通信機から聞こえる。
『う、うそ...北条が...』
浪川は驚き言葉が出ない。
多田野機が北条機に取り憑いていたセレスを倒したがもう遅かった。多田野の視界に映ったのは上半身に穴が空いた北条だった。
「くそぉ!!」
モニターに拳を叩きつける。
コックピット内に鳴り響く警報音。
「ッ!!」
セレスが鋭利な爪を振り翳したその時。
銃弾がセレスの爪を破壊した。
『何をしてる!!早瀬を護れ!!!』
湯川隊の隊長機が多田野を救った。
『多田野隊長!急ぎましょう!!』
西園寺機と浪川機に続いて多田野機が早瀬に向かう。
『早瀬、エネルギー100%』
オペレーターの通信が入る。
これで基地を破壊できる。
誰もがそう思った時。
早瀬は無数のセレスに取りつかれ物量に押し倒される。
そしてビームは空へと発射されてしまい雲を突き破った。
ビームの影響により張り付いていたセレスは塵になったが周りに小型級と中型級が群がり始める。
「絶対に守る!」
起き上がろうとしている早瀬の周りにいるセレス達を倒していく多田野達。
『エネルギー充電開始 『10%.....』
『大型級接近!!』
「うォォォォォォォォおお!」
多田野は雄叫びを上げながら大型級に向かい。刀を模した武器で大型級を撃破した。
『80%に到達!!』
『95%!!!』
『全機、離れてください』
全機は距離を取るがただ一人。西園寺は違った。
間近で見ていたのだ。
「西園寺くん何をしてる下がれ!!」
多田野が通信で言うが無視している。
『わたしが生きます』
浪川機が飛び込もうとバーニアから青い炎を噴射しようとした瞬間。
多田野機が西園寺機に飛び出してギリギリのところで救出する。
『100%』
ビームがセレスの基地に放たれ基地は粉々に粉砕された。
その直後、早瀬がビームの反動で粉々になった。
「パイロットは...」
そんな心配をよそにオペレーターから作戦終了が命じられた。
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