02 俺のひとりごと




俺が冒険者になったのは12のとき。


12の誕生日に前世の記憶と魔力に目覚めたのが理由。


親に話しかけられても一瞬言葉がわからず焦ったなぁ…




前世で死んでから400年くらいか、


軍にいた俺はこれでも当時最高の魔法使いとして名が知れるほどだったんだぜ?


俺が尊敬してた王様が亡くなって後を継いだボンクラと合わずに軍を離れていろんなとこに行ったなぁ。


ずっと働いてたから後半生はひたすら遊んだなぁ。




故国が周辺地域で無茶をしてるって噂を聞いたのは遊ぶのも飽きたころ。


あいつとの出会いはほんの偶然。


昔の部下の一団がエルフ狩りをするって噂を聞いた。


なんでだったかはもう覚えてない。


ただ、気に入らなかったんだ。



俺が着いた時にはもうエルフの村はほぼ全滅。


奴隷にでもするつもりだったんだと思うけど徹底抗戦でもされたのかね。


最後の1人を見つけたのはほんと奇跡だよ。


元の部下でなかなか強かったやつがエルフの幼女に剣を振り下ろすところ。


飛び込んで助けられたけど危なかったよ。


その後は蹂躙じゅうりん



部下だろうが知ったこっちゃねぇ。


全部すっきりさせたあと、


幼女を抱きしめていたことに焦ったのは秘密にしてくれ。



1人になっちまったこの子のために、


この子が認める相手に出会えるように、


それまで生きていられるように、


俺はこれまで学んできたすべてをかけて塔を作った。



そこに幼女エルフを入れて、


俺は死んだ。




あれからほんと400年だぞ、


故国なんてとっくに滅んで、次にこの辺りを支配した国も滅んだ。


今ので3つめか?




塔のエルフの噂は冒険者になってから何度か聞いた。


たった12の家出少年が生きてくには冒険者か傭兵くらいしかない。


傭兵だとどこに行くかは上に決められるし、


誰かに命令されるのは前世でもう飽きた。


前世で死ぬ前にエルフ幼女の笑顔が見たかった。


そう思いながら死んだからか?


俺は塔を探したかった。


モンスターを狩って、


路銀を稼いで、


2年かかってやっと塔まで来た。




嘘だろ…


塔がまだある…


塔にかけた魔法は、


幼女を守るものと、幼女が出て行ったら崩れるもの。


塔があるってことはまだここにいるってことだ。




おいおい、お前…


まだここにいたのかよ、


それにまぁ…


でかくなったなぁ…


それに美人になった。


俺がわかるのか?


あぁ、俺もお前を愛しているらしい。

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