綺麗な花火……

たんぜべ なた。

「綺麗な花火……」

 ここは、竹崎展望台。

 JAXA種子島宇宙センターのロケット発射場が一望できる景勝地。


 先程打ち上がったH3ロケットが、盛大に大爆発したところであります。


 素直なオレのツブヤキを横に聞きながら、激しく右往左往しているのはロケットの姿勢制御に関わっていたオレの幼馴染。

 折角乙女チックに感想イヤミを言ってやったのに、こいつは反撃イヤミの一つもカエシてこない。

 オレは少々不貞腐れ気味の顔になり、幼馴染は謎の祈祷まで始めてしまった。


 打ち上げが成功したには、取材予定だった幼馴染も、お察し状態になってしまい、周りのテレビスタッフも残念そうに機材を撤収しています。

 取材車は一台、また一台と去っていき、やがてオレたちだけが竹崎展望台に取り残されました。

「さて、打ち上げも終わった事だし、帰るとしようぜ。」

 怪しい祈祷を済ませた幼馴染の肩に手をかけると、彼女は顔を上げてニッコリ笑った。


「キレイナハナビ……」


 以降、彼女は宇宙開発から足を洗い、オレをストーキングする困ったちゃんになってしまったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

綺麗な花火…… たんぜべ なた。 @nabedon2022

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説