第20話 僕は変態な友人を持って誇りに思う

 カガリさんを倒した僕は、再び新聞社『転生したらスキャンダル追いかけてた件』、通称『転スキャ』に一人で来ていた。


「上出来だ加古!! サイドキックの一角を崩すとはな!!」


 報告をすると黒田君は祝福して喜んだ。


「君の秘策のお陰でもあるよ! カガリさんの髪の毛を、君が収集癖爆発させて持ってたからこそ。いや~。持つべきものは変態だよね」


「おい。お前、それ褒めてんのか?」


 ごめん。友人と言う認識の前に、変態だった。

 まあ、そんな悲観しないでよ。この戦い、君と同盟を組んだことに間違いはなかったんだ。


「加古。喜ぶのは早いぞ?」


 急に神妙な口調に代わる黒田君。


「いいか? 女王の側近は『二人』いるんだ。お前はその内、一人を倒したに過ぎない。まだ、もう一人いる!」


「瑠香の取り巻きって言ったら……あかねちゃんか」


 中学時代からのクラスメイトで、瑠香の一番身近にいた女子だ。男子にも食って掛かるおてんば気質。女王様のような瑠香の権力を傘にして打算的。虎の威を借るなんちゃらって奴だ。

 二人目の側近。僕が容易に想像つくと、黒田君はこくりと頷いた。


「黒田君。僕は『正統派脇役ヒロイン』になんかよりも、瑠香の方が気になってる」


「瑠香かあいつは強ェ……」


 強いなんて聞いちゃうと――俄然、やる気が出るね。

 瑠香の高慢で高い鼻を挫いてやるチャンスじゃないか!

 黒田君の心配をよそに、僕が胸を躍らせてると。


「しかし……」


 黒田君の秘書である谷さんが首を傾げた。


「どうして加古君の髪の毛が敵に渡ったのでしょう……。加古君の計画とやらも漏洩してたのも気がかりです」


 きっちり敵の動向を疑うと、


「……もしや、身近に『裏切り者』がいるのでは?」


 かっちり疑問の解決案を提示してくれる。 

 君ってやつは実直で信頼があるよ。

 それはってのに。


「谷ちゃん……やめてくれよ」


 黒田君は迷惑そうに顔を引きつらせる。

 そうだよね。

 何んとなくわかってても、あえて口に出さないのが人間の良さであり、性根が腐ったところでもある。

 

 機械的に精巧な谷さんと違って、君は実に薄汚れた人間らしい。


「委員長、ありがとう。でもいいんだ。裏切り者探しはしたくない」


「随分器がでかいじゃねぇか」


 僕の毅然とした対応に、黒田君が感心していた。


「だって僕はんだよ? また僕を手の平返すような真似、絶対しないよね!!!」


 追放された事への恨みが含まれてる。

 黒田君たちには圧として伝わったようだ。 


「裏切るなんて気持ち、僕にはわからないからね」

 

「……おい、加古。そういえば――」


 罰でも悪いのか、話題を変えたいように黒田君が尋ねてきた。

 

「――カガリのパンツ、どうした?」


「あ! そうだった!」


 確かカガリさんを折檻してる時に頭に被せて、そのままだったんだ。


「ごめん。ギルドにある……」


「おいおい! しっかりしてくれよ! 貸したんだぜ? あれは!」


 女子のパンツを借りるってシチュエーション、現実世界では絶対なかっただろうな。


「男と男の約束だぜぇええ!!!?」


「今、取りに行くよ!」


 しっかりした男が、他人のパンツを収集してるものなのか。疑問は深まるばかりである。




 ――――――――

 ストックを全て出し切りましたので、ここからは不定期での投稿になります。

 拙いストーリーだったと思いますが、ここまで読んで頂きありがとうございました。

 

 


 

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