第2章 WHAT IS ”時風さゆり”?
第12話 雨はシャツを透かせ、風はスカートを揺らす
「VTuberは私にとってなんだろうか?」
VTuberをする上で考える一つの問題だった。
「…‥このままVTuberをやっていて良いのか?」
私は、学生だ。
だから私は‥‥‥‥。
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時は少し進み今は梅雨。
俺が、ナツミのマネージャーを始めてから数か月、色々とあったがナツミの登録者数は伸び続けていてV4の登録者数にどんどん近づいていた。
相変わらず、スパチャ額が少ないとツンは発動するが、その分デレは強い。
やはや、そんな設定を忘れていたのも事実だ。
そしてその設定がどう生きるのか。
そんなメタ的な事は置いといて俺は当初の目標登録者1000万人で告白をするというのは変わっていない。
「あ~雨か…傘持ってないけど走るか」
俺は、鞄を上に持ち走り、通り道の公園を通り抜けようとした。
「そういえばこの公園、夏美と一緒に帰った時に雨が急に降ってトイレの屋根で雨宿りしたな…そこで雨宿りしよう」
俺は、公園に入りそこにあるトイレで雨宿りをしようと駆け込もうとするがその公園の真ん中で1人立っている少女がいた。
「ん?こんな雨なのに…傘をささずに…って、あれは‥‥時風さゆり…何やってるんだ」
俺は、時風さゆりの方に向かった。
「おい!こんなところでなにやってるんだ!」
「‥‥‥‥ん、ちょっと雨が大好きで」
「いやいや!濡れてるし!」
彼女の制服のシャツは濡れていて透けていた。
「っあ…いや…いや…」
「んっ…?あぁ‥‥透けてるね‥‥今日は運がいいね…薄いピンクだよ」
「わ、わかったから…ほら‥‥タオル」
「ありがとう」
時風に俺はタオルを渡す。
「で……どうしたんだ、あんな所で」
「うーん精神統一?」
「なんだそりゃ」
「嘘だよ、まぁ‥…あの人のマネージャーなら言ってもいいかな」
彼女も俺がトップVTuberのマネージャーという事を知っている。
「結論から言うとねVTuberを辞めようと思うの」
そうきたか。
「なんかあったのか?」
「うーん、なんか最近楽しくないんだよね」
「でも、配信はすごく楽しくやってるじゃないか」
時風さゆり……VTuberでの名前はイチゴだ。
「そうだね~リスナーの皆は優しいし、とっても楽しいでも……配信するたびに思うんだよね、このままでいいのかなって」
「いいんじゃないか?」
「そうなのかな?でも私は明確な目標なんてないんだよね趣味だし、別にトップVTuberになりたいわけじゃないし」
「そうなんだな」
「普通がいいんだよ」
「普通ね」
「普通じゃないトップVTuberのマネージャーさんにこんな事言うのもあれだけど」
「そうか?VTuberになる人なら悩むと思う、なんでVTuberをやっているのだろうかって……それに時風さん、あなたは恵まれているよ」
「どういうこと?」
「趣味とはいえ、V4になっているそれは、時風さんに魅力そして…イチゴにも魅力があるって事だよ」
「っ!!」
「だから‥‥‥VTuberを辞めて欲しくない」
「……そっか‥…うん……そんな事言われたら…惚れ‥‥…」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないよ」
「う~ん……よしっ!決めた!」
「………」
「春田くん!」
「……私のマネージャーになりなさい!」
「は?」
「決まり!そういうことだから君の家に行こっ!」
「おい!!!!!」
彼女が俺の手を握る。
「行くよ~~!」
お互いびしょ濡れのまま、彼女は俺の前に走りスカートを揺らした。
俺はそれを追うように。
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「……ひっくちっ」
【ナツミちゃん大丈夫?】
【風邪?】
【くしゃみ助かる】
「うっ‥‥ごめん…梅雨のせいかな…って…くしゃみ助かるって‥‥」
【助かる】
【可愛い】
「なんか……嫌な予感がするんだよね……」
【なになに?】
【またV4と対決?】
「流石にそれは、ないと思うけど……」
嫌な予感が当たらなければいいんだけど。
疎遠だったツンデレ幼馴染は大人気VTuber!?スパチャ額で俺への態度変わる!?~登録者1000万人達成でデレるまで~ 峰尾ゆい @sindouakari
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