第10話 前に進もう

ユキとナツミの配信が終わった直後。


「バッドニュースね」

「お前の所にもきたのか」

「えぇ、あなたもきたのね」

「カノジョのマネージャーだったからな」

「あぁ…確かに……」


VTuber業界に統括委員会というのがある。

よくある健全な活動を目的としたみたいな奴だ。

そこからの連絡だった。


「企業VTuber事務所<<スターワン>>か久しぶりに聞いたような」

「【無数の星の中で1番に輝く星のようにタレントを輝かせる】を理念においている事務所、そして所属しているタレントはレベルも高い……ってなんで私が説明してるのよ!!それに久しぶりに聞いたって‥‥あの人とタメを張れたVTuberがいた事務所なのよ!」

「まぁ、そうなんだけどさ…カノジョはそういうのは無頓着で、ファンを一番に楽しませるが大好きだったからな」

「‥‥うっ…それを言われると‥‥」


あかりは困惑する。


「で、どうすんの?V4トップのあかりさん」

「私の目標を達成させるにはこのV4の肩書は絶対に必要なの、だから負けない」

「一筋縄ではいかないと思うけど」

「なんで?」


彼女もわかっているかも知れないが俺は理由を言う。


「今のV4は全員が個人勢そして個人勢が伸びたのは、元々人気だった企業VTuberの人達が活動を休止してるからだろ?それで見るものがなく仕方なく見ていただけ、でも活動を再開したら…違うか?」

「っ……でも私は、それでもやってみせるから」

「そっか俺も、動かないといけないな」

「え…?手伝ってくれるの?」

「陰ながら応援してるよ」

「えぇ‥‥」


一つの事が終わりまた一つの事が始まるそんな気がしたのだった。


「なんか終わらせようとしてるけど、あなたは今のままでいいの?」

「なんの事?」

「ナツミちゃんの事、本当はこのままじゃいけないって思ってるよね?」

「‥‥なんでわかった?」

「私を誰だと思ってるの?V4トップで生徒会長よ、それなりに周りは見えてるわ」

「じゃあ…」


俺はアカリに近づく‥‥。


「ちょ……」


そのまま押し倒し。


「っ…」


ぷるぷると震える身体、触っただけで崩れそうで…そして顔は可愛く、でている所もでていて柔らかそうな。

抵抗はしない。

そして、俺は耳元で。


「協力してくれないか」

「き、協力……」

「俺も‥‥このままじゃ駄目だってわかってる、この先の事を考えると乗り越えなくちゃいけない」

「う、うん」


彼女の顔が赤くなる。


「だから‥‥あかり、俺の力になってくれ」

「う、う…わ、わかった…だから…は、離れてえ!!!」


ドンッ!


「わ!」

「ひゃ!」


急に押された俺、反射的に腕を掴んでしまいそのまま俺は、倒れてしまい‥‥。

むにゅ。


「あっ…柔らかい…」


なんだこの柔らかいものは…。


「素直に、感想を言わないでくれる?」


ラッキースケベ…なるほど‥‥人生の先輩方はこれをやらないといけないのか‥‥。


「ありがとうございます」

「…いや、そこ感謝する所じゃないから…」


あかりは、ゆっくりと離れる。


「ま、まぁ…あなたが言うなら…やってあげる…貸し一つだからね」

「ありがとう」

「じゃっ…さっさとやりますか」


キリっと何か変わったようにモードを変えるあかり。


「あかりんの最高のエンターテインメントを見せてあげるわ!!」

「……ありがとう」

「そうだそれともう一つ」

「ん?」

「……由紀ちゃんはどうすんの?」

「由紀なら大丈夫だよ」


俺は、由紀に電話をかける。


「え、何この行動力」

「「は、ハル?どどどどどどうしたの?」」


由紀が電話に出る。


「ちょっとな‥‥」

「「えとえと‥‥」」

「配信、お疲れ様」

「「み、みてくれたんだ…」」

「あぁ、みたよ」

「「そっか」」

「……それで、俺ーーーーーーー」


俺は、これからやる事を由紀に伝えた。


「「そ、そうなんだ……うん…良いと思うよ!その方が燃える‥‥絶対にあなたを私のモノにするから!」」

「そ、それは……」

「ん‥‥なんか話がまとまったようじゃん」

「「ちょっ!その声…まさか‥‥」」

「ふふふ、君が大好きな春田くんは私が貰ったから」

「「あかりさん!!!ハルと一緒にいるの!?」」

「いるよ……いや…春田くん‥‥すごいよ‥‥おっきいし…もう、惚れちゃ…」

「「ああああああああ!!」」

「おい!!何言ってんだ!」


俺は、あかりに注意をする。


「ひゃっ‥‥もう、春田くんたら」

「‥‥‥‥はぁ‥‥」

「「は、ハル逃げて!」」

「大丈夫大丈夫、コイツ冗談だから…」

「冗談冗談!実は、私もあなたの配信をみてたんだ~」

「「‥‥え、あかりさんも」」

「うん、良かったよ」

「「あ、ありがとうございます」」

「まぁ、私には敵わないけどねふふ~ん」

「「‥‥」」

「まぁ、そういう事だ‥‥それと‥‥」

「「?」」

「ありがとう‥‥嬉しかった、勝手かもしれないけど、返事はまだ返せないごめんな、由紀」

「「っ!!」」

「それだけ言いたかった、じゃまたな」

「「ちょっ‥‥は、ハルっ!」」


俺は、終了ボタンを押した。


「うわ~いやらしい‥‥言いたい事だけ、言って逃げる男」

「……うるさい」

「あなた、そういう所を直さないと後で痛い目みるわよ」

「はいはい、テンプレ忠告ありがとう」

「‥‥‥‥」


何はともあれ、由紀からの許可は貰った。

現V4の1位の実力を見せて貰おうじゃないか。


「なんか心の声がすごい上から目線で嫌なんだけど」

「人の心を読むんじゃない」

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