第9話 企業VTuber事務所 【スターワン】
「ようやく報告できましたね~」
黒いロリータ服を着た彼女は言う。
「うん」
「まったく他の事務所の不祥事のせいでこっちも飛び火くらうのやめて欲しいですわ」
……。
「金儲けの道具にされて、その事務所が逃げちゃうんだもん可哀想だよね、ユキさん。てか配信してないんだからその語尾やめたほうが良いと思うよ」
「え~良いじゃん~可愛いじゃないですか~」
「ですわ口調なんてお嬢様しか…いや、お嬢様もですわとか言うのかは疑問がありますが」
「キャラづくりだし仕方ないですわ」
「………」
「いつものキレのあるツッコミはないの?」
「え、なんかめんどくさい」
「なになに?びびっての?不安なの?」
図星だった、だが隠す必要はない。
「正直不安かも、今のV4も勢いはあるしそれに個人勢がここまでくるとは思わなかった」
「そうだね……でも、それはそれでしょ別に彼女達に魅力があるかって言うとないでしょ?」
「……魅力か」
「どうせ個人勢なんてすぐに落ちこぼれるんですから、それにトップVTuberのあの人を再びこのステージにあがらせるのには彼女達にはもっと頑張って貰わないと」
「あなた名前と同じに‥‥クロいですね…」
「あなたに言われたくないですわシロ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピンポーン。
家のチャイムがなる。
寝起きが悪い、俺。
「しゅん~夏美ちゃんよ!」
「‥‥うっ…うっ…」
大きな声で呼ぶ母さん。
「はぁ駄目ねこれ‥‥ごめんね夏美ちゃん‥‥しゅん起こしてきてくれる」
「は、はい!」
ゆっくりと足音がこちらに近づいていく。
「‥‥‥しゅん……起きてる?」
よく聞いてる声なのに今日は甘い声に聞こえた。
なんとなく、試したくなったので俺は、寝たふりを実行した。
「‥‥入るよ‥‥」
部屋の扉が開く。
「……ふふっ、可愛い‥‥私だけが見れるハルの寝顔……やっぱり…私は‥‥ハルの事が…‥昨日…言いそびれた言葉…ここで…‥大好き…ハル」
……告白。
俺は、告白された。
この状況どうしようか…。
「……まっ…ちゃんと言える時が来ると思うから…今は‥‥うん…その……起こすか…ハル~!朝だよ!起きて!」
身体が揺らされる。
起きていた事を悟られないように、わざとらしく返事をする。
「うっ…あ、朝か…」
「うん…朝だよ!学校いこっ」
「じゃあっ、行ってきます~」
「2人共いってらっしゃい!」
家を出て、2人で歩く。
「‥‥あ、あの夏美‥‥」
「‥‥…」
反応がない。
「夏美」
俺は、肩を叩く。
「ひゃっ」
「あっ、ごめん…」
「夏美…今日放課後暇か?」
「え、ひ、暇だよ」
「じゃあ…ちょっと付き合ってよ」
「付き合う!?」
「‥‥ん?」
「いいいいい今‥‥付き合うって‥‥?」
「あっ……ほ、放課後ちょっと付き合ってくれる?って意味なんだけど」
「‥‥‥‥」
「夏美?」
「この……バカあ!!!!!!!!」
「えっ!」
バチンっ‥‥夏美の手のひらが頬に当たる。
「も、もう!勘違いしないで!」
「え?え?」
話が見えない。
「別に、付き合ってとかを別の意味捉えた訳じゃないんだからね!」
王道なツンデレ返し…キャラがいったりきたりで‥‥夏美…大変なんだな‥‥。
「わ、わかってるよ…とりえあえず放課後!生徒会室に来てくれ!」
「わかったわよ」
そんなこんなで周りからとても変な目で見られながらも放課後をむかえたのだった。
「えっと‥‥生徒会室か‥‥ん~と…愛川夏美です」
トントンっ。
ノックをする夏美。
「ん、入って良いよ~」
「失礼します」
夏美が生徒会室に入る。
そして‥‥…。
「ようこそ!生徒会室へ!いえーい!」
「え?え?え??」
そこには一つのノートパソコンがありそこに映っていたのは。
「あ、アカリさん?」
V4の1位のアカリさんだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます