第4話 自問自答のその先に
学校どうしよう……と朝ご飯を部屋の中に持ち込むだけ持ち込んで僕がくよくよと悩んでいると詩音がいつも通り僕のことを迎えに来た。
詩音が母親に家にあげられて僕の部屋の前にやってくる。僕は反射的に布団に潜り込む。
「おはよう真砂希。入っても……大丈夫?」
「……入らないで」
無視をするつもりでいたが、昨日何も言わずにいたため彼女に部屋に入られた上で辛い思いをしたことを思い出し返事をする。
「えっと……大丈夫?」
心配そうな声色。あまりにもいつも通り優しい彼女。いつもなら嬉しかったはずなのに今はその優しさも辛い。
嘘を吐いて会話を終わらせにかかる。
「ごめん……体調悪いから……」
「……そう、じゃあお大事にね。……放課後にまたお見舞いにくるから。私は行ってくるね」
「……いってらっしゃい」
ドア越しの会話を終えて彼女が僕の部屋の前から立ち去ると、一気に疲労感が噴き出てきて僕を襲う。
今は凌いだけど放課後にまた会わなきゃいけないのか……。
それにこれから詩音、小林に会わないためにいつまでも学校に行かずに過ごすというのは無理がある。
「いっそのこと、もう詩音に会わなければ楽なのにな……」
僕の口から無意識にふと漏れ出た言葉。
「もう全部終わらせればいいのかな……」
全部終わらせる、僕と彼女の関係を。僕の一方通行だった片想いも、幼馴染という腐れ縁も。
いやいやいきなり何を言っているんだと思う自分がいる一方で、それがさも名案であるかのように思っている僕がいた。
関係がなかったことにすれば、僕がこれ以上詩音のことで苦しむ必要も悩む必要もない。
それに考えてみればそうだった。年齢を重ねて学年が上がっていくたびに幼馴染だからと僕と詩音が二人で一緒にいるところを見られるとなんであいつなんかと?明らかに釣り合ってないのにと陰口を叩かれる回数が増えた。
そう言われるたびに詩音は私が真砂希と一緒にいたいからいるの!と怒ってくれたけど、多分それは幼馴染としての優しさだったのだろう。
この曖昧な、腐れ縁という理由で繋がっているだけの幼馴染という関係が僕たちを、詩音を縛っている。それならこの関係を終わらせて笑っておめでとうと一言声をかけるのが僕の幼馴染として残された最後の責務なんじゃないかと思った。
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