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どんな魔物であろうと耐えるの事のできない必殺の一撃。それがデッドクラウンの胸を貫いた!
手応えがあった。君の手に、勝利を確信させる手応えが。
しかし流石に不死の魔物。デッドクラウンは自ら刃を掴み、引き抜く。
だがもはや戦う力など微塵も無い事は、君も、敵もわかっていた。
道化の仮面の下で敵が呻く。
「ああ、見事だとも。これほどの騎士ならば認めてやろう。我が祖国は私の軍門に降った、私の方が上だった! ただお前がいたから、私の支配はここまでだったのだと、な」
血も流れない傷口を抑え、デッドクラウンはよろよろと後ろへ退く。その先は‥‥壁の無い最上階の端、最も深い谷が下に口を開ける所だ。
「ここまで来れた貴様の剣は受けてやったが、エインシェント国の腰抜けどもになど、我が破片の一つとして鞭うたせるものかよ‥‥」
そう言うと、彼は身を投げた。
君は最上階の端まで行き、千尋の谷を見下ろす。
当然、妖術師の躯など見えよう筈もなかった。広大な山脈の谷底のどこかで、彼は怨霊となり、永遠にエインシェント国を呪うのだろう。
その谷に陽の光がさす。夜が明けたのだ。
日輪の輝きはこの最上階をも照らした。その眩しさを少しの間感じ取り‥‥君は最上階を降りる階段へと向かう。
王に勝利を報告せねばならない。
https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663790408585
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