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殺されないのならば放っておいても良いのではないか。君にも君の任務があるのだから。
君はそう思って網に近づかずに横を通り過ぎる。この部屋には君が入って来たのとは別の廊下に繋がる出入り口があるのだ。
だが君のそんな態度が気に入らないらしく、女性は網の下から這い出してきた。特に捕まっていたのではないらしい?
出てくる際にドレスも脱ぎ捨てて、腕や太腿も露わな動きやすい軽装になっている。
女は目じりを吊り上げて怒鳴った。
「昨今は勇者の質も落ちたものですね! それとも武装しただけの泥棒だったのかしら」
どこに隠していたのか、小さな太鼓を取り出す。
「兄さん! この盗賊に折檻してやりなさい!」
女は太鼓を打ち鳴らした。
しかしいくら太鼓の音が響いても、何も起こらないし誰も来ない。
「に、兄さん? どうしたの、兄さん?」
女は焦りと混乱に叫びながら、南の廊下へ走り去ってしまった。
勝手に騒いで勝手に姿を消した女に、君は戸惑うばかりだ。
ちょっと待ってみたが、女が戻ってくる気配は無い。
君にも時間が無限にあるわけではないので、入りかけていた廊下の先へ進む事にした。
https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663472296821
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