61

 君は鉄の扉の前に立ち、力を籠めて押し開けた。

 だが何かで抑えられているらしく、いくら押してもビクともしない。


‥‥が、何か重く大きい物の外れた音がして、扉の方が勝手に開きだした。

 しかし君は中へ入る事はできない。

 かんぬきを外し、扉を開けた張本人がいるからだ。


 それは生者では無かった。

 見上げるような大柄な騎士だが、その体は複数の屍を縫い合わせて造った物なのだ。

 大きな剣と分厚い鎧で武装しているが、兜は被っていない。

 顔面には皮が張られておらず、髑髏が露出している。

 そして後頭部からは――いくつもの骨を組み合わせて造られた、長い辮髪べんぱつのような尾が伸びているのだ。その先端には毒液のしたたるナイフのような針がある。


 その騎士の髑髏の顔が、がちがちと歯を鳴らして笑った。


【スコルピオナイト 戦闘力10 生命力12】

※敵は攻撃力20以上だった時、毒針で攻撃してくる。この攻撃で君がダメージを受けると、致死毒を分泌する毒針で貫かれ、君は即死する。


 逃亡はできない。

 勝利したなら、君は砦の中へ入る。

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663186427456

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る