小屋を出て数日。君は月明りに照らされた平原を歩いている。道の両側は茂み、その向こうは森。

 漆黒の闇の壁に挟まれた道を君は一人進む。不思議なほど静かな夜で、獣も鳥も虫も声一つあげない。土を踏みしめる己の足音だけが闇の中に消えていく。


 と、闇の中に鈴の音が響いた。

 前方から、徐々に近づいてくる。


 やがて月光の下に姿を現したのは、一人の僧侶だった。

 武装もせず、まるでどこかの教会から夜の散歩にでも来たかのごとく、恐れも警戒も見せずに独りで夜道を歩く。

 右手に鈴を持ち、まるでカンテラか何かのように体の前に掲げ、小さいがよく響く音を鳴らしているのだ。


 僧が近づく。

 君は気づいた。

 相手の両目は白く濁っている――盲目なのだと。


・このまま僧とすれ違うなら――

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663100312514


・道の脇の森に隠れるなら――

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663102396439

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