第8話 天使が人間性を捨てる時

絵画:ソドムの天使たち

画家:ギュスターヴ・モロー


■天使のイメージ

 天使というと、女性や子どものイメージが強いのでは。

 本当の性格や、地上に来た理由はさておき、見た目としては、

 可愛くて優しくて穏やか、という風に描かれることが多い。


 しかし、聖書に出てくる天使は、優しくて穏やかというより、強面な要素が強いんじゃないか、と思っています。


■旧約聖書のヤコブの話。創世記32章。

 ヤコブの前に天使が降りてきて、一晩中、格闘(相撲)することに。

 ヤコブがかなり強くて、なかなか勝負がつかないため、なんと天使は、ヤコブの腿の骨を外してしまいます。

(体の中の骨を外すなんて、ジョジョの「柱の男」を想起してしまう・・・)


 最後に、天使はヤコブを祝福し、「イスラエル」の名を与えるのですが、

 どうも、外した腿の骨を、戻してあげなかったみたいです。

 わざとなのか? 実はうっかり屋さんなのか!?


■ソドムとゴモラ

 都市の破壊が、どのように行われたのか。諸説あるようです(ラピュタ人とか)。

 その1つが、溶岩説。

 火山が爆発して、その溶岩で焼かれた、という説。


 掲記の絵画は、都市の破壊を執行する天使の絵、だそうです。

 2人の天使が、燃える都市の上空に浮いています。怖い絵です。


■人間性を捨てる時

 天使が人間のような姿をしているのは、人間とコミュニケーションするため、じゃないでしょうか。少なくとも、理由の一つかと思います。

「四つの顔と四つの翼と四本の手を持つ異形」などでは、人間の方が、怖がって逃げてしまいますから。


 そうすると、神の怒りに触れた都市の「破壊を執行」する際には、もうそのような人間らしさ、人間性を、身にまとう必要は、無い。


 コミュニケーション用の擬態、あるいは、義体は、もう要らない。


 交流のために、人間らしい姿をしていた存在が、

 何かの事情で、その人間的な部分をかなぐり捨てる。


 その「事情」を、よくよく考えると、物語の種が潜んでいそうです。

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創作への刺激、感想、その他の雑文 蒼井シフト @jiantailang

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