家 4

 星谷さんを家に招き入れたのはいいけど、私にはどうすればいいかわならない。同級生が家に来たことなど無い私には、星谷さんを自室に案内するのか、リビングに案内すればいいのか、どっちがいいのか分からない。

 星谷さんに体重をかけながら、私はどうしたものかと思案する。

「えっと、天霧さんの部屋でいいわよね……?」

「……うん。階段、気をつけよう」

 そう答えることしか出来なかったから、仕方がない。

 だけど、私の部屋に星谷さんが……。どうしよう。なぜだか緊張してきた。別に見られて困るような物は無いから問題無いはずなのになぜだろう。星谷さんが部屋に来る。そう考えると心臓の音が階段を上がるように、口から出てきてしまいそうになる。

「大丈夫?」

「大丈夫だよ」

 反射的に答えを返す。私は大丈夫なはず……自覚してしまう程しんどくなってきたけど。

 頭はボーっとするし身体は相変わらず重たい。星谷さんが会いに来てくれてもこの重さは無くならない。今すぐ星谷さんごと倒れてしまいたい。私より小さなその身体に、私を委ねてしまいたい。

 そんなことを考えていると階段を上りきり、私の部屋の前までやって来た。

 ゆっくりとドアを開けて、私と星谷さんは部屋の中へと足を踏み入れる。

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