学校 2 星谷サイド

 その日は授業に集中できなかった。身に沁みついた習慣でノートはとっていたからテストに支障はないと思うけど。

 やっと繋がりができたのに、今日も一緒に帰りたかったのに上手くいかない。

 明日は天霧あまぎりさん来てくれるのかな? 体調が悪いのに一人で帰るなんて、もし倒れたりしていたらどうしよう。せめて連絡先さえ知っていれば……。

「星谷さんバイバイ」

 手を振ってくれるクラスメイト――花宮さんと岡山さんに手を振り返す。

「バイバイ」

 早く家に帰ろう。そして早く寝て、早く明日になれば、早く天霧さんに会えるから。

 でもその前に文化祭の準備に必要な物を確認して、みんなが動きやすくしないと。

「はあ……。え?」

 あれ、なんで今、私はため息をついたんだろう。疲れているのかな? ううん、天霧さんが関係している? それだ、きっとそれに違いない。単純なこと、天霧さんの力になれなくて落ち込んでいるんだ。

 私はそうやって自分を納得させる。

 これ以上なにも考えなくてもいいように、私は早速やることを始めるのだった。

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