早退
家に帰ってきた私は鍵を閉めると軋む階段を上って自室へと向かう。
リュックを机の上に投げると、私はベッドの上に身を投げる。
時刻は昼過ぎ、まだ四時間目の途中だ。そういえば
私はそんな事も知らないのかと、少し自分に呆れる。どこまで周りに、人に興味が無かったのだろう。人とまともに関わっていたのは……確か小学生の時までだったような気がする。
中学や高校とか、ある程度自分達の頭で考えられるようになる頃には私は一人でいることを選んでいた。
なにも困らなかった、勉強は苦手じゃ無いから、教科書を読めばある程度はできる。だから授業を聞いていなくても進級はできるし。
出席日数も特に問題ない、休むとしても行事とかそれらの時だけだし。今日は行事とか関係なく帰ってきてしまったけど……。
九月はもう中ごろなのに、まだ暑くてじんわりと汗がにじんでくる。
布団を汚してしまう前に私は布団から身体を起こして着替え始める。
端に置いてある扇風機を近くに持ってきて、その生温い風を浴びながら部屋着に着替える。
冷静になればなるほど星谷さんに嘘をついたという事実が私に重くのしかかる。そもそもまだ友達とよべるような関係じゃないのに、なにを勝手に凹んでいるんだ。星谷さんだって迷惑だろう。
じめじめとへばりつく気温に辟易した私は観念してクーラーをつける。
吐き出される冷たい空気が部屋を快適にしてくれる。それに伴って私の気分も幾ばくかマシになる。
やっと汗が止まったからベッドに寝転がる。
――学校休もうかな。
星谷さんとは一回一緒に帰っただけ、お互いの連絡先も知らないし家も知らない。その程度の希薄な関係だし、しばらく休めば忘れてくれるのかもしれない。繋がりができたばかりだけど、噓を積み重ねて辛くなるのなら、忘れられる方がマシだと思う。だってその方が、傷つくのは一瞬だし、星谷さんを傷つけなくていいから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます