第一試練30 試練達成
明音先輩をベッドに寝かせ残りの道を進む.
結局先輩の体調は無理矢理魔力を使ったことで、また悪くなってしまった.
青白い顔で寝ている姿は見ていて申し訳ない。
あれから明石海峡大橋を渡りきり、淡路島を通過した.
幸いにも四国まで結ばれている残りの橋梁、大鳴門橋は切断されていなかった.
淡路島は住所だと兵庫県だが、その南側にある大毛島は徳島の鳴門市に入っている。
あとはこの橋さえ渡りきれば試練は達成できる.
秋灯たちはベッドを押しながらゆっくり進む.
ベッドを押す度フレームが軋んで限界が近いことが分かる。
50mの大ジャンプをしていながら衝撃で壊れなかったのは本当に運が良かった。
大鳴門橋の主塔をつなぐケーブルの終端、橋の終わりがようやく見えてくる。
一応試練通過と同時に何かあるかもしれないので身構えておく.
徳島県と書かれている緑色の看板をちょうど通過したところでreデバイスから音がなる.
国の式典とか自衛隊のパレードで使われているファンファーレの音に似ている。
20秒ほど鳴り続けたあと画面が光る.
映し出されたのは試練の合格通知と注意事項についてだった.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【第一試練‘紀行駆歩‘】
試練達成おめでとうございます.
あなたは期間内に東京皇居から徳島県鳴門市へ到達されました.
第二試練が始まる間、わずかな時間ではありますが市内でお寛ぎください.
【鳴門市内について】
市内全域の時間は解凍されております.
リゾート施設が数店舗運営されておりますので、下記添付しております地図をご確認いただき、ご利用ください.
利用に際して、料金は無料で提供させていただいております。
【注意事項】
第一試練の期間中は鳴門市内、市外のどこにいても自由となっておりますが、試練期間外に市外におられますと試練は未達成となります.
乗り物についても市内であれば利用は可能となりますが、市街での利用は禁止させていただいております.
また.他の試練の参加者について試練の条文で示して通り、暴力行為の禁止が以降も適用されますのでご注意ください.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
内容は鳴門市内へ入ったことにより第一試練は通過.
残りの日数は鳴門市内であればどこにいても自由にしていいらしい.
また、市内の中は普通に時間が動いているようだ.
いちいち時間解凍をしなくても食事や睡眠をとることができる.
また市外へ出るのは自由だが、試練期間内に市内に戻ってこなければ試練は未達成となる.
試練の期間は残り4日あるため一応気をつけておきたい.
「秋灯さんリゾート施設があるみたいですけど・・・・どうします?」
「行ってみましょう.明音先輩を早く休ませたいですし、神様側が運営しているなら安全だと思います」
地図上では十箇所ほどリゾート施設の位置が記載されている.
一番近い施設はここからすでに見えている.
大毛島の北端に建てられ20階建ての大きなホテルだ.鳴門大橋や渦潮などの絶景が売りらしい.
正直他の参加者に遭遇したくないが、少しでも早く明音先輩を休ませたかった.
「また天使とかいるんでしょうか?もしかして従業員として働いていたり」
「どうですかね.そこは神様パワーでなんかやっているかもしれません」
背中から翼が生えた人間に接客される姿を想像するが、神々しい姿を皇居で目撃していただけあり違和感しかない.
第二試練までどれくらいの猶予があるかわからない.
残りの四日間で明音先輩の体調が回復出来るだろうか.
また、秋灯自身。今回の試練は他の参加者と違ってお告げが無く急に世界の時間が止まった。
いろいろと準備不足を感じていたため、次の試練が始まるまで用意できるものは準備しておきたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます