【閑話】明音の心中
ーー流石に恥ずかしいわね.
らしくないことをした.
秋灯に対して感謝の思いは持っていたが今まで面と向かって伝えたことはなかった.
自分のありのままの本音を語ったことがなんだかとても恥ずかしく感じる.
それに一個下の男の子と同じお風呂に入ってしまった.
照明がなくてほとんど真っ暗だったとはいえ随分大胆なことをした。
一応タオルで身体は隠していたし月明かりだけでは見えていないと思うが,これが元の世界だったらまず考えられない.
露天風呂から出てきて小一時間。
明音は自室の畳の上で悶えていた.
秋灯が屋内の方のお風呂に入ってきたとき、おそらく音を立てていたと思うけど全く気づけなかった。
露天風呂のお湯に身体が緩み切っていて,周りに全く警戒していなかった.
露天風呂まで続く扉が開く音で、秋灯の存在に気付いたがすでに遅かった。
秋灯がお湯に浸かるまで僅か10秒で、できる限り平静になるよう努めた。
ーーでも、秋灯のあの姿は可笑しかったわね。
自分以上に秋灯がきょどっていて、笑えてしまった。
普段クールぶっているが,狼狽えている姿は高校生男子らしい初さを感じる.
露天風呂で秋灯に語ったことは、明音の本心だ。
恥ずかしかったが、それでも伝えることが出来てよかった。
秋灯には感謝している.皇居まで一緒に行った時も第一試練が始まってからもずっと隣にいてくれている.
もし試練に一人で挑んでいたら、もっと精神的に追い詰められていたと思う。
時間解凍の範囲もそうだが、気のおける人が隣にいてくれると随分楽だ.
秋灯がなぜ試練に参加したのか本当のところ良く分からないがーー聞いても多分答えてくれないのだろうーー普段の態度を見ていて警戒するのがバカらしい.
いちいち体調を気遣ってくれるし、とても過保護に扱ってくる。
時々親のような生暖かい視線を向けてくるので、正直いやらしい目を向けられるより心地悪い.
秋灯の内心に興味はある。でも誰に立った隠し事の一つや二つはある。
明音にも秋灯に対し、話していないことはある。
無理に人の内側を暴いてもいいことは無いと明音は思っていた。
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