第一試練2 四国行き準備
【第一試練‘紀行駆歩‘】の周知があった日.
明音先輩には寝るように促したが、結局四国までの日数とか諸々気になってなかなか寝つけなかった.
意識がおぼろげになってきてそろそろ眠れるなーと思ったころ街が明るくなった。
ペットボトルの水で顔を洗い無理やり意識を起こした。
四国行きの準備として、まず初めに近くにあった本屋から地図を調達した。
reデバイスの追加機能である時間解凍を初めて試したが、解凍できる範囲が思ったより狭い。
せいぜい棚一つ分が指定できるくらいだった。
解凍した本の中から道路地図を取り出し、ルートをざっと調べる。
行程はできるだけ最短距離を進みたいが、主要な街道は他の参加者と遭遇してしまう危険がある.
規定には争いを禁ずるとあったが、変に気を張りたくないから避けれる道を選びたい。
一番簡単なルートはおそらく高速道路を利用すること.
規定の通り車の解凍をしても使うことは出来ないが、首都高から東名高速、ないし中央自動車道に入ればほぼ一直線に敷かれた道を進むだけだ.案内板が多く設置されているから迷うこともない.
ただ、この道は多くの参加者が使うと予想できる.おそらくその中には異能を使用する者も。
異能や魔術と呼ばれる力は見てみたいし、できれば自分が使えるのか聞いてみたいがそんな友好的な参加者はまずいない。
食料など物資の調達も考えて、下道を使うことに決める。
ゴールは同じだが一般道なら道を少し逸れるだけで遭遇の確率は減らせるはずだ。
基本的な道は東京から大阪まで続いている1号線に沿って歩く。大阪より西側は日数を見て行程を調整していく。
ずっと歩いているわけでもないから都度ルートは確認しよう。
その他スポーツショップで、念願の着替えを調達。学生服から身軽なランニングウェアに変わる。
一週間ほぼ着ていたから汗臭かった。
スーパーからは2,3日分の食料、携帯食とスポーツドリンクを調達し、準備を終える。
あまり持ちすぎても移動の邪魔になるので、できる限り最小限にした。
東京まで行動を共にしたリアカーとはここで分かれる。
規定の中で禁止されている事例に挙がっていたため持っていくことが出来ない。
乗り物ではないと思うのだが、車輪がついているからアウト判定なんだろうか。
結局、本屋に入るための入り口、地図本で二回。
スポーツショップの入り口、衣服で二回。
スーパーマーケットの飲み物、携帯食のコーナーで二回。
スーパーの入り口は開いたままだったため、ドアに時間解凍はしなかった。
一人一日三回までしか時間解凍できないため、これで二人分、計六回の時間解凍を使い切ったことになる。
時間が止まった世界はいちいち大変だ。建物一つ入るにしても、ドアを解凍しなければならない。
普段気にも留めなかったが、意外とドアが開きっぱなしになっているお店が少ない。
食料に困ることは無いにしても、他で我慢しなければいけない部分が出てきそうだ。
ホテルのベッドとか解凍すれば使えるかもと安易に考えていたが、淡い期待だった。
規定には他の使い方があるような文章だったためもしかしたら範囲を広げられるかもしれないが。
翌日、何の気なしに試した方法が成功した。
スーパーの総菜コーナーを解凍しようとしたが、横のサラダがどうしても食べたかった。
1mでは届きそうになかったため、ふんふん頭で念じていたらなんかできた。
思い付きって大事だな。
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