第25話
・・・おはようございます。
これは、懺悔の時間ですね。
強敵を前にして、HPとMPの回復のためにちょっと休憩をとる。
それ自体に問題はないんだ。
ただ...
なぜご馳走をたらふく食べた挙句そのまま腹一杯で寝るなどという愚行を冒してしまったのだろうか。
いや、違うんだ。
思ってたよりも焼いた食べ物がずっと美味かったのが悪いんだ。
転生してから初めて焼かれたものを食べたという感動もあっていっぱい食べ過ぎちゃっただけなんだ。
いっぱい食べちゃったのだからぐっすり寝ちゃったのも仕方ないだろう。
それになんだかんだでリフレッシュになったし。
やばい、言い訳しか出てこないぞ。
最初に言った懺悔という言葉はどこに行ってしまったのか。
まあいいや。
懺悔なんてやめだやめ。
過去の行動を悔やんでも仕方ねえ。
体力が回復したのは間違いないんだ。
さっさとあの鹿野郎の討伐へと勤しもうじゃないか。
って言っても特に作戦を立てたりはしない。
鹿を守っている障壁の突破する算段も一応ついているしね。
途中からとはいえまたこの高い山を登るのは憂鬱だが早速頂上目指して登山開始といこう。
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はあ、はあ。
着いたぞコノヤロウ。
律儀に頂上で待ちやがって。
途中まで下がってくれるみたいな優しさを見せてくれても良かったのに。
まあいい。
ここであったが百年目、そろそろ死んでもらおうじゃないか!
早速行くぜ!
僕は自分の俊敏をフルに活かした動きで鹿へと接近していく。
だがそう簡単に近づかせてくれる敵では無い。
鹿は幾つもの岩を僕に向かって放ってくる。
速いな。
だが、今回は当たらん!
僕は岩の軌道を読み、余裕をもって回避していく。
『パワーファング』!!
僕は鹿の臀部を狙い攻撃する。
カキンッ
ま、ですよねー。
頭隠して尻隠さず、その言葉の通り臀部を狙ってみたが効かないか。
この障壁は決して頭だけを守っているわけではないということだ。
だがそれは想定の範囲内。
まだまだ行くぜ!
そう僕が次の攻撃の準備を始めると、背後を取られていた鹿はその巨体で勢いよく振り向き、岩による攻撃からフィジカルを活かした突進攻撃へと切り替える。
今度は力で僕をねじ伏せに来たか。
確かに力で言えば僕よりも鹿の方が圧倒的に強い。
だがその突進攻撃が、果たして僕に当たるかな?
僕は突っ込んでくる鹿に対し、冷静に横に避け距離を取る。
追いかけっこで僕に勝てると思うな!
ただでさえ速い俊敏にスキル『逃走』まで発動した僕に追いつくことはお前には出来ない!
ただ...
あれだけのパワーで走っている状態だと近づいても攻撃を喰らわせることが出来ないな。
逆にこちらが吹っ飛ばされてしまいそうだ。
一旦足止めをするべきか。
『重力魔法』発動!
体を重くされた鹿は、スピードこそ少し落ちたが、相変わらずの力強さで走り続ける。
うへー。
さすがのパワーだな。
それでもその少しが命取りになるのが戦いというものだ。
狙うは相手が方向転換しようと更にスピードを落とした時。
そこが勝負の決め時だ。
1...2...3...
今だ!
タイミングを見極め、僕は大きく跳躍する。
さっきは我が身可愛さに使うにがはばかられたが耐久をあげた今なら遠慮なく全力で使わせてもらおう。
『石化』発動!
更に『重力魔法』!
体を石化し、更に重力を大きくし勢いよく墜落する僕はディアブリテインの頭部へと真っ直ぐ向かっていく。
喰らえ!
「『
キキキキキキッッッ
僕の攻撃とディアブリテインの障壁の力は拮抗していて、貫通しきることが出来ない。
っ...!
まだ足りないか!?
ならこれならどうだあああ!
『炎魔法』発動!
僕は炎を自分に纏い、より強い力でディアブリテインに対して突っ込んでいく。
うおおおおおおおおおおおお!!!
キキキキキキ!!!パリン!!
どんどんと増していく力によって、遂にディアブリテインの障壁は破られる。
キタアアアアアアア!!!
くたばりやがれぇえええええ!
そして僕はディアブリテインの体を頭から貫通する。
ギュオオオオオオオオ!!!!!
《レベルが上がりました。》
《レベルが上がりました。》
《レベルが上がりました。》
《レベルが上がりました。》
《レベルが上がりました。》
《レベルが上がりました。》
はあ、はあ。
レベルが上がった...っていうことは!
よっしゃああああああ!!!!
遂に、遂に倒したぞ!
やっとひとつ、大きな壁を今僕は超えることができた!
今まで見てきた中でもずば抜けた強さを持つ3体の内の一体。
今までの屈辱、遂に果たしたり。
進化してから上がりが悪かったレベルも、一気に6つも上がったみたいだ。
ああ、このレベルの敵がまだ2体もいると思うとどれだけ強くなれるか楽しみだな。
1度壁を越えたのだから次も勝利してみせる。
今、この山の最強は間違いなく僕だ。
この調子で草原と森の最強の座も頂くとしようじゃないか。
まあでも、今日はもう疲れたな。
今日やった事と言えば登山と鹿狩くらいしかないがその内容は濃かった。
これだけ頑張ったんだ、今日くらい長い休憩を取ってもバチは当たらないだろう。
昨日もいい飯食べまくった挙句そのまま寝てなかったかだって?
はて?そんな記憶もう無いな。
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