第24話
うおおおおおおお!!!!!
いたい!体が痛いよ!
でも今この場所から落ちたら絶対もっと痛い!
歯を食いしばるんだ僕!!
説明しよう。
今僕はいかにも絶体絶命です、という状況に置かれている。
先程、忌々しい鹿の放つ金色の岩によって僕の体は頂上から吹き飛ばされた。
そのまま僕に体は地上へと落ちていくかに思われたが、運良く途中に生えていた木に手を引っ掛けることに成功し、今の僕はファイトーイッパツ宙ぶらりん状態というわけだ。
つまり、あれだ。
今の僕は手1本で自分の全体重を支えているわけなのだが...
きつい!
なんで僕の腕はこんなに細いんだ!
ゴキブリの体にこんな弱点があったなんて思わなかった。
昆虫特有の細すぎる手足のせいで本来軽いであろう僕の体がゾウ並に重いのではと錯覚してしまいそうだ。
だけど今ここで落ちる訳にはいかない。
ギリギリで木の枝を掴めたのはいいんだけどなかなかの高さ、落ちたら絶対痛い。
ついさっき落下で痛い目見てるんや!
もう墜落はこりごりなんや!
だが嫌だ嫌だと言っていても僕が消耗していくだけ。
打開策を考えよう。
滑空出来るなら今すぐにでも滑空して地面に降りたいところなんだけどさっきの一撃で羽が思うように動かん。
この状態で滑空なんてしようものならどうバランスを崩してしまうか分からない。
羽の回復を待つ?
それまで僕の腕がもってくれる気がしない。
ならばスキルか?
スキルで言えば頑張って木にしがみつくために『ふんばる』が活躍してくれているところだが...
今持っているスキルにこの状況を打破してくれそうなのはないな。
なら新しいスキルを取るしかないか。
ステータス、オープン!
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種族グランドデビルコックローチ レベル2 所持SP10
名前:なし
称号:『容赦なき者』
HP72/123 MP42/75
筋力:76
耐久:59
俊敏:138
知力:58
魔力:73
器用:49
スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走2』『パワーファング5』『石化2』『鑑定2』『魔導3』『重力魔法3』『詠唱1』『ふんばる』『炎魔法1』
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さっき取得した『炎魔法』の分を引いてもまだ10SPもあるのか。
今この状況に適していそうなのは...
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落下耐性
高いところから落下した時に受ける衝撃や、ダメージを少なくする。
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うん、正しくこれだな。
効果についても名前が全てを物語っている。
2SPで取れるし僕の腕がもげる前にさっさと取ろう。
《2SPを使用して、スキル『落下耐性1』を獲得しますか?》
さっさとしてくれい!
《スキル『落下耐性1』を獲得しました。》
じゃあ早速...いや『落下耐性1』の『1』の部分。
ちょっと不安じゃね?
一応SPを使って耐久の数値をあげておこう。
いざという時のため5SPを残して全部耐久に使おう。
《3SPを使用して耐久を強化しますか?》
イエス。
《耐久が45増加しました。》
おお、上がり幅増えてるな。
ってそんなことよりもう限界だ...
今までありがとう木よ。
そしてよくやった僕の腕。
どうか痛くありませんように。
では、滑空!
ああああああああああ!
やっぱり上手く飛べないんじゃああああああ!
僕は自分の羽を上手く動かせず、そのまま地面へと激突した。
ガンッ
ふぎゃ。
うーん...
なんか変な感覚だな。
結構な高さから落ちたのにまるで階段を何段かジャンプした時の着地のような感じだ。
まあ無事着地できたし、また頂上へと戻りますかー。
ここで逃げるという選択肢は僕には無い。
必ずやあの鹿野郎の首をもぎ取ってやる。
さっきは初めての速さで反応出来なかったが速さ勝負は僕の得意分野。
2回目は勝ってみせる。
でもさすがに一旦休憩はしとくべきか。
体力とMPが結構削れてたしな。
相手が相手だ。
万全な状態で行くとしよう。
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んじゃ全く最後にする気は無い晩餐にしますかー。
呑気すぎるだろって?
いやー、戦いの前にすることと言えば準備運動か栄養補給でしょ。
この山は飯が美味いからね。
さっき採ってきた鹿肉と鶏肉、木になっている謎の果実。
どれも素晴らしい食材達だ。
そして極めつけには新しくゲットした『炎魔法』のスキル。
ここは山。
ここの地面は岩なのか土なのかよく分からないやつ。
地面の素材の名称はどうでもいい、燃えないことが重要なのだ。
ここまでの情報が出揃ったなら皆さんお分かりだろう。
僕はついに肉を焼くことが出来るのだ!
さあ、焼肉パーティの始まりじゃーい!!
早速鶏肉を『炎魔法』で炙っていく!
ジュー
ん〜、いい香り!
もーう我慢出来ん!
中まで火が通っている怪しいけど食べちゃおう。
ガブリッ
最高だあああああああ!
美味い、美味すぎる!!!!
このジューシーな肉汁。
焼かれて引き締まった肉質。
素晴らしすぎる!!
ってあれ?
もう無くなったのか!?
まあいい。
まだまだ食材はあるんだ。
どんどん焼くぜーい!
ちなみにこの後、滅茶苦茶食った挙句、腹いっぱいで普通に寝た。
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