第15話
ふう。
目の前に広がる大きな森を前に僕は心の準備を始める。
ここから先は僕にとって未知の領域。
どんな危険な相手がいるか分からない。
強敵を前に何も出来ないなんてこともあるかもしれない。
だが僕もここに来るまでにそれなりの努力と成長はしてきたつもりだ。
この世界に転生して僅か数日、その中で僕は出来ることはやってきた。
これ以上今までの茂みの中にいても大した成長は見込めない。
僕は強くなりたい。
右も左も分からない状態で、この世界のことも何も知らないのだからせめて出来る限りの力が欲しい。
ならば行くしかないだろう。
この先へ。
よし。
そして僕は森へと足を踏み入れた。
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ん〜。
暗い。
そう、暗いのだ。
びっしりと並んでいる木々のせいで光がかなり隠れちゃってるんだよね。
今までお天道様とはずっとご対面していたから、温度差で風邪引いちゃうよ僕。
そんなこと言っているけど実際はすこぶる調子がいい。
本能が「クライバショサイコー!!」って言ってるんだよな。
暗い場所にいると10年以上住んできた実家のような安心感を感じる。
心が安らぐしいつもより良く動ける気がする。
あれ?
もしかして僕この世界では引きこもりの才能があるのか?
それは嫌だ〜!
僕だって外を見てみたい。
なんで1回転生してまで引きこもり生活を始めなきゃ行けないんだ。
ザッ
ゴキブリとしての本能と僕自身の感情が喧嘩していると近くの木陰で何かが動くのが見えた。
なにか見えたな。
第一村人ならぬ第一魔物発見だ。
情報収集の為にも倒したいところだ。
おーい出てこーい。
あ、いた。
これはあれだな。
1本の角を持っているがうさぎっぽいな。
よし。
どのくらいの強さかどうかは分からないが出会ったのだからバトル以外に選択肢は無い。
先手必勝!
『パワーファング』!
僕の奇襲を兼ねた一撃はうさぎの素早い動きによって躱される。
って速!?
こいつ今まで見てきたやつの中で1番速いぞ!?
一気にこちらに敵意を向けてきたうさぎはかなりの速さで接近してきてキックを繰り出してくる。
危な!?
何とか躱せたが本当に素早いやつだな。
だが見た感じパワーはなさそうな感じだ。
足の滅茶苦茶速いアサシン型といったところか。
だが、足が速いだけならばその足を奪ってしまえばいいだろう。
『重力魔法』発動!
僕は奴の体全体に重力を掛ける。
その瞬間こちらへと跳んてぎていたうさぎは地面に落ちる。
よし、効いているな。
明らかに奴の動きが鈍った。
MPも惜しいしさっさと決めよう。
『パワーファング』!
自慢の足を奪われたうさぎは、僕の噛みつきを避けられずあっさりとやられるのだった。
《スキル『パワーファング2』のレベルが上がり、『パワーファング3』になりました。》
《レベルが上がりました。》
おおー!
『パワーファング』に僕自身のレベルも上がったか。
森に来て一発目でこれとは。
幸先がいいな。
早速ステータスの確認を...
ザッ
・・・またかよ。
しかも今度は仲良く2匹。
もしかしてさっきのやつの家族か何かか?
まあいいや。
相手の家族愛に情を抱いても仕方がない。
さっきと同じ方法でチャチャッと終わらせますかー。
あ、そうだ。
一応うさぎかどうか鑑定しておこう。
《うさぎ》
そりゃそうか。
そして相変わらずの残念クオリティだなこのスキル。
《スキル『鑑定1』のレベルが上がり、『鑑定2』になりました。》
って、え?
マジか。
ここで上がるのか鑑定のレベル。
もしかして残念クオリティって呼ばれるのがそんなに嫌だったのか?
とりあえず使ってみよう。
『鑑定』発動。
《一角兎》
おお!
相手の種族名っぽいのがわかったぞ!
やっと僕の知らない情報を教えてくれるようになったのかお前!
まだ実用的とは全然言えないけれどこれだけでも感動ものだ。
《一角兎》
なんか嬉しくなってもう1回使っちまったわ。
MPがもったいないよな。
こんなことしてないでさっさと倒そう。
やっと敵の名前が言えるぜ!
喰らえ一角兎!
『重力魔法』発動!
か・ら・のー
『パワーファング』×2!
うん簡単。
こいつ最初は速くてビビったけど、『重力魔法』がクリティカルっぽいな。
これは簡単に倒せるからレベル上げに役立つかも。
それはそれとして、お預けをくらっていたステータス確認といくか。
「ステータス、オープン。」
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種族ランドデビルコックローチ レベル3 所持SP2
名前:なし
称号:『容赦なき者』
HP70/70 MP15/31
筋力:35
耐久:29
俊敏:73
知力:22
魔力:27
器用:20
スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走2』『パワーファング3』『石化2』『鑑定2』『魔導1』『重力魔法1』
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遂に全てのステータスが20以上になったか。
SPも今回で2になったし次のレベルになったら使い道を考えよう。
『パワーファング』もレベルが3になったし『鑑定』もレベルが上がってまだ使えるようにはなった。
この調子で頑張っていこう。
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