第10話

ん...

んん。

っは!!


え、えーと...

今はどういう状況なんだっけ。

確か僕はでっかい蛇と戦って死闘を繰り広げ、最後には酸素欠乏という形ではあるが勝利を収めることが出来た、だがその後の記憶がかなり曖昧だ。

おそらく全力を出し尽くした戦いによる消耗によって倒れてしまったということだろう。

目の前には死んでいるであろう蛇の体が鎮座している。


そうか、僕はこいつを倒したのか。


いや〜僕もなかなかやるじゃないですか〜。

なんかこんなでかいやつを倒したと思ったら急に力が湧いてくるように感じる。

こいつを倒せたんだったらあの忌々しい犬も倒す...ことは出来ないか。

そもそもあんな倒し方で調子に乗るんじゃねえ。

もうちょいまともに戦って勝てるようにならないと奴には何もすることもできず負けてしまうだろう。

調子に乗ったっていいことないからな。

僕は堅実なゴキブリ。

いつだって油断はなしだ。


そういえば僕の記憶が正しければ意識を失う寸前、何回もレベルが上がったという声を聞いた気がするんだよな。

間違いかもしれないけどとりあえず確認してみよう。


「ステータス、オープン。」


------------------------

種族ランドコックローチ レベル8 所持SP3

名前:なし

称号:『容赦なき者』

HP48/48 MP12/12

筋力:20

耐久:18

俊敏:47

知力:9

魔力:8

器用:10

スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走2』『パワーファング1』『石化2』

------------------------


うおー!

めっちゃ上がってるじゃないですか。

レベルが3上がってステータスもかなり上がってるし、SPが3もある。

『石化』のスキルはまだ1回しか使ってないはずなんだけどもうレベルが2になっている。

もしかしてスキルのレベルは使用回数だけじゃなくてどういう時にどういう風に使ったかも関係あるっていうこと?

『石化』のレベルが上がってくれるのは嬉しいんだけど『パワーファング』くんがぽっと出の新入りにレベル負けっちゃってるのは大丈夫か?

今の所のメインウエポンなんだからしっかりしてくれよー。


そしてSPが3になったということでなんと取りたかったスキルが取れるようになりました!

パチパチパチー。

まあ何が取りたかったかと言いますと、


ドドドドドドドドドド... ドン!


『鑑定』です!


そう『鑑定』が取りたかったんだよね。

やっぱり前世の時の情報では定番のスキルだし、そして何よりこの世界のものについてなーんにも知らないから少しでも情報が欲しい。

いままではネズミもどきとか蛇やろうとか、僕のランドコックローチみたいな名前すら分からず戦ってたしね。

このスキルは間違いなく役立ってくれるだろうし、早速取っちゃおうと思う。


ということでポチっとな。


《3SPを使用してスキル『鑑定1』を獲得しますか?》


イエア


《スキル『鑑定1』を獲得しました。》


よーしきたぞー!


そして早速そこら辺の木を鑑定していく!


《木》


え?

いやいやいや。


鑑定発動!


《木》


・・・・・・

使えな!?

いやいやいや。

いくらレベル1って言ってももうちょっと頑張りましょーよぉ!

なに 《木》 って。

見ればわかるはそんなもん!

何が間違いなく役立つだよ!

今のところ今まで史上最高のゴミスキルもいい所じゃねえか!


おい、ちょっと待てよ。


僕は何かに気づき、やめろやめろと願いながらステータスを開く。


------------------------

種族ランドコックローチ レベル8 所持SP0

名前:なし

称号:『容赦なき者』

HP48/48 MP10/12

筋力:20

耐久:18

俊敏:47

知力:9

魔力:8

器用:10

スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走2』『パワーファング1』『石化2』『鑑定1』

------------------------


MP減ってるじゃねえかあああああ!

なんで 《木》 ごときでMP使ってんだよ!

それならパワーファング打ってレベル上げした方がよっぽどいいわ!

『鑑定』のレベルをあげるにはMPが必要。

自分自身のレベルをあげるにもMPはあった方がいい。

僕のMP12でやりくりするのは無理があるだろ!

ック、これなら『鑑定』を取る前にMPをSPで強化しておくべきだった。

これは早急にレベルをあげてMP枯渇しすぎ問題を何とかする必要があるな...


はあ...

寝起きだけど近くでネズミ狩りでも頑張るかな...


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る