第8話
僕の体が宙を舞う。
急な攻撃で、ほどんど考える時間すらなかったがほぼほぼ反射の勢いで今まで使ったことのなかった羽を全力で動かす。
初めて使ったがさすがは自分の体と言ったところだ。
別に飛べる訳では無いが滑空もどきのような形で地面に着地する。
あっっぶねえええええーーーー〜!!
羽がなかったら足の1本や2本は折れてたぞこれ。
というか誰だよいきなりこんなことしてきた奴!
ギョロ
あ、やばーい。
そこにいたのは大きな蛇。
それも獰猛な牙にいかにも危なそうな体の色、そして僕を吹き飛ばしたであろう大きな尻尾を持っていて、いかにも凶悪という言葉が似合いそうな風貌だ。
逃げるべきか?
考えるまでもない。今の状態ではあまりにも手札が少なすぎる。
逃げる一択だ。
だが今回は前回のデカ犬とは全然状況が違う。
目の前のこいつは間違いなく僕に狙いを定めている。
この前みたいに簡単に逃げることなどできないだろう。
だがそんなこと言っていても仕方がない。
僕は迷わず逃げる。
今までよりも上がったステータスをフルに活かした全力疾走だ。
ってあいつはええ!?
ちらりと後ろを確認すると後ろから蛇が猛スピードで追いかけてくるのが見える。
今の僕はおそらく『しぶとい』の効果に『逃走』の効果まで乗っていて今までとは比べものにならない速さで走ることできている。
それなのにあの蛇は平然と僕と同じスピードで走ってくる。
これマジで『しぶとい』と『逃走』がなかったら一瞬で終わってたな。
だが今の状況だって決していいものじゃない。
というかむしろ滅茶苦茶悪い。
目の前はずーっとただの草むらだしあいつが僕を見失ってくれることも考えにくい。
それにあいつの方が僕よりもスタミナが多い可能性が高い。
走りにも余裕がありそうだもん。
ダッ
ってあぶねえ!?
あのやろう今度は口を突き出して攻撃してきやがった!
とりあえずナイス避けだ僕!
1回避けれたら次も来るかもと気をつけておくことができる。
それにさっきの攻撃の反動でちょこーっとだけだけど僕とヘビ野郎の距離が遠くなった。
かといってなにかできる訳じゃないんだけどね!
いやまーじでどうしよ。
《スキル『逃走1』のレベルが上がり、『逃走2』になりました。》
ぉぉおおおおお!!!!
まじでないす!
本っ当に『逃走』、お前ってやつは空気が読めるなあ!
今までよりも速く走れているのが自分でも何となくわかる。
これならいける!
あいつから逃れることができる!
どうだ蛇やろう!
チラッ
いやなーんであいつも速くなってんのおおおおおお!?
せーーーーーっっかくこっちがちょっと速くなってめっちゃ喜んでたのに、あいつは
「え、まだ自分速くなれますけど?」
みたいにさも当たり前のようについてくっちゃってるわけえ?
さっきまでは遊びだったってことかよ!
これじゃあまだ逃げ切ることは出来ない。
なにかないか?ここから逃げ出せるような方法が。
ここからあいつをぶっ倒してやれる逆転の一手が。
よく考えるんだ僕よ。
今僕の周りにはちょっと高さのある草しかなく、環境を上手く使ってどうこうするということは不可能に近い。
ステータスは間違えなくあいつにどれも負けており、正面から殴りあったところで瞬殺されるだけ。
スキルも『しぶとい』と『逃走』はもう既に発動してるだろうし、『HP自動回復』はこの状況じゃ大して意味が無い上『パワーファング』だってあいつに効くか分からないしそもそも当てられる気がしない。
称号の『容赦なき者』もこいつは間違えなく格上だ。
格下用のこの効果が効くわけが無い。
八方塞がり。
打つ手はないか...
いや、スキルはどうだ?
幸いなことに貯めて置いたSPが1とさっきのレベルアップで手に入れたはずのSPが1で今SPは2あるはずだ。
これでなにか使えそうなスキルを取る、もしくはステータスの俊敏に振って自分の足を速くすることも可能だし、とりあえずやるしかない!
ステータスオープンだ!
------------------------
種族ランドコックローチ レベル5 所持SP2
名前:なし
称号:『容赦なき者』
HP21/36 MP5/9
筋力:17
耐久:12
俊敏:38
知力:6
魔力:5
器用:7
スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走2』『パワーファング1』
------------------------
SP2で取れるスキルになにかないか!?
------------------------
『剣術1』『槍術1』『斧術1』『弓術1』『盾術1』『木工1』『料理1』『牙術1』『尾術1』『体術1』『鉄壁1』『瞑想1』『集中1』『闘気1』『罠術1』『視覚強化1』『聴覚強化1』『嗅覚強化1』『危険予知1』『奇襲1』『分析1』『毒耐性1』『睡眠耐性1』『麻痺耐性1』『暗闇耐性1』『マッサージ1』『痛覚耐性1』『毒術1』・・・・・・・・・・・
------------------------
なにか、なにか...!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます