第6話

「こちらG、標的を確認。」

「了解した、直ちに作戦を実行しろ。」

「OK、殲滅開始。」


こんなふざけた1人茶番を繰り広げる僕は一体の獲物に狙いを定める。


おっしゃ死ねえええ!

スキル発動! 『パワーファング』!!


僕の口から放たれる強靭な一撃は目の前のネズミもどきの皮膚を食いちぎる。


「ぴゃああああああああぁぁぁ!!!!!!。」


さすがに一撃とはいかないか。

というかすげえ声で鳴くな。

でもそれだけ効いているということだろう。


この調子ならばもう1回『パワーファング』を当てるだけでおそらくあいつは倒せる。

ネズミはめちゃくちゃお怒り状態だし、突っ込んできたところを躱してカウンターで1発ぶち込んでやればいいか。


「ぴゃああ!!!」


怒りに狂ったネズミはこちらに向かってなにか風のようなものを纏いながら突撃してくる。


っておお!?

思ってたより速いな。それに魔法的なにか纏ってるし。

だが分かっていれば僕の俊敏なら避けることなど容易い。


さあ、もう1発いくぜ!

『パワーファング』!


突撃を躱され目標を失ったネズミの身体は僕に容易に噛まれ、絶命する。


ふぅ、終わったか。

一匹のネズミを倒した程度ではさすがにレベルは上がらない。

だがしかし、僕の目的はそうじゃない。

いやそれも出来たら嬉しいけどね。


なんと目の前には採れたて新鮮なネズミの肉が。

そう、僕はやっと肉にありつけたのだ。

今までダンゴムシの足しか食ってなかったからな、さすがにお腹が減っている。


だがしかし、ネズミの肉か. ..

前世では食ったこと無かったな。

というかまず食いもんじゃないだろう。


食べて大丈夫だろうか。

正直野生のネズミの肉とかめちゃくちゃに危ない臭いがプンプンする字面だ。

なんなら実際にちょっと危なそうな臭いがプンプンするし。


よく考えるんだ僕。

猫はネズミを食べるってよく聞くし、一応食べても問題は無いはずだ(?)

それに今の僕の身体は間違えなくこういう類の食べ物には強いだろう。


それに美味しい可能性だって無いわけじゃない。

普通みんなトリュフを初めてみた時、

「あ、これ美味しそう。」

とはならないと思うんだ。

それなのに実態はまさかの高級食材。

前世でトリュフを食べたことがないから分からないけれど高級なんだからきっと不味くは無いはずだ。

つまり味は見た目によらない。

だから目の前のネズミだって美味しいはずだ。(願望)


よし、合わせる手はないけれど。

いただきます。


ガブリ


お〜〜〜〜、おお?

なんだろう。非常に形容し難い味がする。


でも一つだけ言えるのは別に食えるということだ。

他のものよりもこいつを口に入れるのに嫌悪感はあんまりないし、これは食べれるっていうものが出来たのは大きな進歩だ。

これで飯に困ったらネズミを探して食べればいいということが分かった。


いや〜、この世界に転生してから初めてのまとも...かどうかは分からないけどちゃんとした食事、疲れた体に染み渡るわぁ〜。



よぉーしやる気出てきたぞー。

空を見るともうすぐ日が暮れようとしてるみたいだし睡眠場所の確保は必要だな。

それにレベル上げもしていきたいし、まだまだやることいっぱいだー!


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すっかり日も落ちてきて、僕がこのあたりを散策して結構時間もたったかな?

ご飯食べてから結構歩き回ったんだけど正直結構眠い。

体が眠いーって叫んでる感じ。

だけど今ここで眠るわけにはいかない。


もしここでそのまま寝ちゃって寝ている間にサクッと殺されっちゃって、僕のゴキブリ生がジ・エンドしちゃうのは嫌だがらね。

何とか安全な寝床を確保したいってところだ。


そして僕が目をつけたのがこの背の低い木が群生しているこの茂みだ。

ここならば体のでかいやつは来ないだろうし視界も悪い。今の体の色も相まって今の僕の体はかなーり見にくいだろう。同時に醜いとか思うじゃないぞ。僕はこれでもこのボディを気に入っているんだ。


でもそれだけじゃあ不安だから、ここに穴掘って寝床にしてやろうって算段だ。


ということで最後の力を振り絞って穴を掘っていこうと思いまーす。

って言っても体の下の方から土に潜るだけだけどね。


はい、うんとこしょと。


こうやって顔の部分だけ出して体は土の中に埋まる。

俗に言うヒラメスタイルだね。


うーん、そんなこと思ってたらいよいよ眠気が限界だ。

今日の僕よ、よく頑張った。

ということでおやすみなさーぃ......










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