第4話

レベルが上がったということでとりあえず自分のステータスの確認をしていこうと思う。


「ステータス、オープン。」


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種族ランドコックローチ レベル2 所持SP1

名前:なし

HP18/24 MP6/6

筋力:4

耐久:6

俊敏:29

知力:3

魔力:2

器用:4

スキル:『しぶとい』『HP自動回復』『逃走1』

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おー、伸びてる伸びてる。

あとさっきのダンゴムシに頭突きした時のダメージでちょっとHPが削れてるな。

筋力とか知力とかのほかの数値より俊敏や耐久の数値の方が伸びがいいな。これはおそらく種族的に伸びやすいって所かな?

もともと持ってたスキルも『しぶとい』と『HP自動回復』だったしゴキブリらしく生存力に特化してるっぽい。


さて、それではこのSPをどうしようか。

貯めるのもありだけど今のステータスは貧弱。

出来ればちょっとでも強くなっておきたい。

さっきのダンゴムシくんは何とかなったけど格上ばかりと戦ってたら命がいくつあっても足りないからね。


まずスキルの方なんだけどSP1で取れるスキルは成長系のスキルが多くて手っ取り早く強くなれる保証はないけど有用そうなものも沢山あるんだよね。

例えば『身体強化1』っていうのはかなり無難に強そうではある。だけどレベル1の状態だとどれだけ効果あるか分からないんだよなー。

もし現在のステータスの1割分強化とかだったら今の筋力は4だから4.4でほぼ効果ないからね。

これとって小数点四捨五入とかだったら全然枕濡らしちゃうわ。

それでも俊敏は上がってくれるけど今は逃げる能力より敵を倒せる能力が欲しい。


『強打1』とかなら相手にダメージを与えられる可能性はあるけれど僕の筋力は4。

赤ちゃんのビンタレベルになってしまう気がする。


色々諸々考慮した上で今回はステータスに振ろうかな。

筋力4じゃいかんせん敵を倒せる気がしない。

ダンゴムシの足を噛みちぎるのもめっちゃ苦労したんだから。

筋力を今回で強化して次のSPで攻撃系スキルを取ろう。それに決めた。


ということでー。

筋力にSPを投入ー。


《1SPを使用して筋力を強化しますか?》


もちろんだぜ。


《筋力が10増加しました。》


おおーーーーー〜!?


パワーが、パワーがみなぎってくるぜーーー!!


筋力にSPを使ったら急に自分の中の力が強くなった気がする。


そしてこの力を使って僕にはまずやらなければならないことがある!


飯探しだ!


いや〜。今の僕の胃の中ってダンゴムシの足くらいしか入ってないからね。出来ればまともな食事にありつきたい。

多分今の体はそこら辺の雑草でも大丈夫だと思うんだけど、肉食った方が強くなれそうだし。


飯を探しにいざゆかん!

まずはこの草むらを抜けるぞー。


この草のせいで前が見えなくていつ抜けられるかは分からないけど水の流れる音が近くから聞こえるだよね。

おそらく桃源郷はすぐそこだ!


そうして1分程度進むだけで草と草の間から川が見えてきた。


めちゃくちゃすぐじゃないですかー!

草むらさん空気読める〜。


とりあえずここの水を飲んでひと段落しますかー!


そうして草むらから勢いよくでると


ガルル...


そこに居たのはでっかい犬。


そして対するは勢いよく河川敷の石に着地する僕こと一般ゴキブリ。


目と目が合う〜、じゃなくてまずいわーー!!!


石に着地した瞬間僕の体は超高速でUターン。

元いた草むらの方へ全力疾走。


いや無理無理無理絶対ムーリー。

あんなん勝てないって〜〜〜〜!?

まず体のサイズが比べ物にならんわ〜!


敵対した瞬間僕が瞬殺されるのは目に見えている。

幸いなことにあのバカでかい犬はおってきていないようだ。


そりゃそうだわな。

ゴキブリとか食っても美味しくなさそうだもん!

今この瞬間はまじで自分がゴキブリで良かったと心の底から思うわ!!



そんなこんなで逃げ続けること5分くらい。

ここまで来ればまあ大丈夫だろう。


グチャ


え?

急いでたらなんか踏んだな。

えーと、これはぐちゃぐちゃになっちゃったけど蟻だな。

筋力高くなったのもあって蟻は通るだけでワンパンか。蟻さんもはや気付きさえしなくてごめん。南無。

というか蟻が一匹だけでいるってあるのか?


周囲を見渡してみるとある方向に蟻の1団が。


おおー、なんか餌探しでもしてんのかな?

蟻達も大変だな〜。


ま、僕も自分の食いもん探しますか〜。


いや、まてよ。

この蟻達全員倒したら結構経験値溜まるんじゃないか?

塵も積もれば山となる。ざっと見ただけでもおそらく50は超えている。

そして蟻達を倒すのに必要な労力はほぼ無いに等しい。


あ、そんなこんなしてたら蟻達が餌を見つけたみたいだ。見るからに喜んでいる。


さあ、どうしようか。

あれ全部倒したらレベル上がるよなぁ〜。


ゴクリ


よし。

生きるためだ、許せ蟻達。


そうして僕は蟻達の元へ突撃していく。


グチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ


逃げ惑う蟻達をさらに追っていく。


グチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ


なんかブルドーザーになった気分だな。


グチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ


《レベルが上がりました。》


お、早速上がったな。まあ残りもう少ないしこれ以上は上がんないだろうけど全部狩っちゃうか。


グチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャグチャ


そして残った最後の一匹を踏み潰す。


グチャ


よし。ありがとう僕の糧となってくれた蟻達。

君たちのおかげで今日僕はひとつ成長出来たよ。
















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