第7話 変わりゆくその先に
あの日。クラウディアが私を刺してから数週間が経った。
あれからだろうか。
使用人を始め、色んな人がよそよそしく私に接するようになった。
「なんでしょうかフィーア王女様。」
「あの……クラウディアを呼んで欲しいのだけれど……。」
「は、はい。少々お待ちを。」
変に従順にされると返ってやりにくい……。
どうしてこうなったのかしら?。
まあクラウディアに聞けばだいたいのことはわかりそうなものだが。
ガチャ。
「呼びましたか?。お姉様。」
扉を開けて部屋に入ったクラウディアが私の顔をのぞかせる。
近くをまじまじ見るその瞳は何を思っているのだろうか。
「お姉様。そろそろ朝食のお時間ですよ。」
「……。それもそうね。ありがとうクラウディア。」
私が回復してからというものの、何故か陛下、王妃様、クラウディアと一緒に毎日朝食を取るようになった。
なぜかは分からない。
私に同情でもしているのだろうか。
まあそんなことはどうでもいい。
「来たか。クラウディア。フィーア。」
「おはようございます。フィーア。クラウディア。」
「おはようございます。お父様。お母様。」
「おはようございます。陛下。王妃様。」
未だになれない。
何度かは経験しているはずなのに、どうしても取りきれない壁はそこにずっとある。
そして、陛下は私を先に呼ばないことで王妃様に怒られる新しく始まった日常がそこにはあった。
そんなことで喧嘩しなくてもいいのに。
「2人とも、勉強は順調か?。」
「はい。特になんの問題もなく。」
「はい!。お姉様が適宜教えてくださるので。」
「あらまぁ〜。」
そんな。どうでもいい会話をしながら私たちは朝食を終えた。
今日は特に私に対する質問が多かった気がする。
今更知ってどうしたいのだろうか?。
そんなおり。
ある来訪者が来た。
この前、大聖堂で私にいろいろと事情を説明してくれた例の騎士団長一家が謝りに来た。
まあ、私自身はどうでもいいのだけれど。
それでも王家への不敬は最も重い罪の一つ。
一族粛清も当然のことながらありえること。
けれどそれでも騎士としてプライドというものもある。
だから私は提案をした。
「なら私とそこのバカ息子と模擬戦して、私に勝てたら不問で、どうですか?。」
「なんだと!!。」
案の定、釣り竿にかかった。
あの性格だ。こんなものでも乗っかってくるだろう。
「じゃあ。そういうことで。」
私は周りの制止も無視して、中庭に向かった。
武器はもちろん真剣。
あとは予定通りに事を進めるだけ。
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