第6話 記録番号005 各国の奇怪現象④

4 ベラルーシ大統領の証言


「あの時の出来事を私は忘れないでしょう…その日はいつも通り公務を終えて、そのまま公邸に行こうかと思いましたが、大日本征覇神皇帝国の使者としてやってきた『預言天将』と名乗る者が『●月×日 クレムリン、ミンスクの議会に隕石が飛来し、強硬派の議員が死亡する』…と、彼は予言しました。」


二つの異変が起きてからそう時間が経っていない時、ベラルーシ共和国でも異変が起きていた。


「もちろん最初は妄想付きの餓鬼の戯言かと思いました。ですが…彼が言った内容と全く同じ事が起きたのです。」


突如としてベラルーシ大統領官邸に『預言天将』と名乗る者が現れて、クレムリン・ミンスクの議会に隕石が落下し、丁度その場にいた強硬派議員が死亡したのだ。


「中国じゃあチベットから上海から真っ二つにされるわ、北朝鮮では自分達が放った核攻撃で日本が消滅したのを見て喜んでいたら突然大規模な核爆発攻撃を受けて消滅するわ、世界中であり得ない事が起きてます…何か嫌な予感がします、今すぐあの人物の身柄を確保するべきです。」


ベラルーシ大統領はことの重大さを表している様な表情と声色で『預言天将』を確保するべきだと伝えた。

しかし、ベラルーシ大統領は“まだ伝えていない事”があった。

いや、言えるはずが無かった…という言い方の方が正しいだろう。では、特別にその時の状況を見てみよう。


------------------------------------


ベラルーシ議会隕石襲撃事件が起きる約24時間前、ベラルーシ官邸にて大統領の前に、謎の人物が現れた。その人物は黒色の生地に赤と紫の布で飾られたドレスを着て、薄紫色の髪の可憐な少女だった。しかし、その肌は生気を感じられない程青白かった。


「初めまして、ブラックサンダー大統領。私は糸尊き至高なる御身であり、愛しき我が君『召喚天将』アインディア様の忠実なる下僕、レミティラ・ブラッディ・フォールンナイトで申しんす。」


レミティラと名乗る少女は丁寧にお辞儀をして、自己紹介をした。


「……我が国ベラルーシへようこそ、Ms.レミティラ。もう私を知っているようだが、この国を預からせているブラックサンダーです。本日はどう言ったご用でわが国へ?」


ブラックサンダーも丁寧に自己紹介を終えて、なぜベラルーシへ来たのかと問いかけた。


「本日この国へ来たのは………この国を、御身の座す神域である日本国改め大日本征覇神皇帝国に対する降伏を要求しにやってきました。」


なんとベラルーシ国を日本の属国になる事を要求するためにやってきたと、可憐な見た目から到底想像出来ないほど大胆な要求をして来た。


「…失礼、少々驚いてしまってね。解答が遅れてしまった。こちら側の答えはNoだ。」


ブラックサンダーは要求を拒否した。そもそもベラルーシ国はロシアと仲が良く、日本の属国となる可能性は限りなく低かった。しかし、その拒否はこの空間で絶対に行ってはならない返事だった。


「そうですか………貴方達は御身の故郷である日本に手を出した愚かな国『ロシア』と味方関係なのにも関わらず降伏の選択肢を与えたのに、その行為を無碍にするとは……。」


レミティラは静かな激情を孕んだ声で空気を緊張させていった。


(な、なんだこの底から湧き出る恐怖は!?私は、一体どれほど愚かな選択肢を選んでしまったというんだ!?)


「では我が日本軍を持って蹂躙いたしましょう…せいぜい、楽しませいて下さいね?」


不敵な笑みを浮かべながら黒い蝶となってどこかに消えていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る