第3話 記録番号002 各国の奇怪現象①
1 ウクライナ戦争の終結
日本が起動し、“提案”を放送する約99時間前、ウクライナとロシアは長きにわたる激戦を繰り広げていた。
ウクライナ兵1「ここを奪還すればロシアに大打撃を与えられるぞ!攻め続けろ!」
ロシア兵5「一歩たりとも引くんじゃない!!これ以上ウクライナに有利な状況を与えるなぁ!!!!」
銃撃音が辺りの空間を支配した戦場は、息つく暇もなく命のやり取りが行われていた。
ウクライナ兵8「戦況は我らに有利!!攻撃の手を緩めるなぁ!!」
戦況はウクライナに有利だった。最初はウクライナの敗北かと思われたロシア・ウクライナ戦争はこの1年間ウクライナは勝利を確実に掴もうとしていた。しかし、戦況というのは何が起こるか分からない、たとえ“人智を超えた化け物”が現れたとしても。
ズゥゥゥゥッッッッッッドォォォォォォォォォォンンンンンン!!!!!!!!
突如としてウクライナ軍とロシア軍が戦闘を繰り広げているど真ん中に何者かが猛スピードで落ちてきた。
ロシア兵7「何だ!?何が起きた!?」
ウクライナ4「向こうの新しい兵器か!?」
突然起きたこの現象に両軍は困惑していた。最初は何かの兵器かと思われたが、煙が徐々に晴れていってそこいる“何か”の正体が明らかになった。
???「ケホッケモッ……あーもう、着地失敗しちゃったよ〜〜‥。」
その正体は兵器でも、自然災害でも、未確認生物のどれでも無く…ただの人間だった。
ウクライナ兵11「人間だと……!?何故こんなところに!?」
ロシア兵10「まさか第三の勢力か……!?」
ロシア・ウクライナ両軍は突如として現れた謎の人物の衝撃により、戦争をしていることなんて一切忘れてしまっていた。
???「あーあー、聞こえますかー?ていうか僕の言葉分かりますー?」
謎の人物は自身の言葉の意味が分かるかどうか確認をとったが、両軍はそれどころでは無かった。
???「まぁいいや、えー私は、大日本征覇神皇帝国の使者としてやって来ましたー、帝国神命十三天将の『無間天将』サリディスですー!このたびー、我々日本はー、中露に対して常任理事国の退任を求めて来ましたー!えー、これを無視・拒否をする場合は、この二国含めこの二国と味方関係のある国に対して、非軍事的侵攻を行いまーす!」
謎の人物…サリディスの話が一通り終えると、両軍は更に困惑していた。
ウクライナ少佐1「おい、奴は何と言っているんだ?」
ウクライナ伍長3「ハイ…あの人物は日本の使者らしく、中露の常任理事国の解任を求めてきたらしいです。」
ウクライナ少佐1「日本から…?だがヤツは飛行機やヘリコプターを使わずにここまでやって来たように見えたが……一体どういう事だ?」
ロシア大佐2「しかも、ヤツは我々と中国の常任理事国の退任を求め、拒否した場合非軍事的侵攻を行うと…?」
ロシア少尉4「頭のおかしい狂人の戯言です。迎撃しますか?」
しかし、ロシアはウクライナに比べると困惑よりも怒りが勝っていた。何せ急に現れた日本の使者と名乗る人物が、自国の常任理事国の解任を要求されるというロシアにとっては屈辱だった。武器や兵器をサリディスに向けて来た。
ロシア大佐2「……撃て。」
ロシア大佐のたった二文字の短い命令を受けて、ロシア軍は一斉に銃撃を放った。このままではサリディスは銃弾の雨に貫かれて蜂の巣にされる………と、いうのが、普通の人間が迎える末路だ。
サリディス「あ〜あ……素直に降伏すれば殺さなかったのに…。」
サリディスは少々残念そうな表情をしながら、右手を挙げた。
サリディス「……残念。」
銃撃が後もう少しで体に当たろうとした時、そこから両軍の記憶と意識が途切れた。
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ウクライナ兵1「……ん…俺は…寝てたのか?」
両軍の意識が急に途切れてから数時間後、ようやく一人目の意識が戻った兵が現れた。そしてそこから徐々にウクライナ軍の意識が戻っていった。しかし、ロシア軍に声が聞こえない事に違和感を抱いたウクライナ軍は、ロシア軍がいる方向を見てみると…。
ウクライナ少佐2「…‥な…んだ、いったい、何が、起きたんだ。」
「アヒャッアヒャヒャ……ヒャヒャ!!!!」
「ウヒヒ、ウヒャャ、ウヒーヒヒャ!!」
「アヒァイー、ヒ、ヒ、ヒ、ヒァヒヒhイィィィィィィィィーーーー!!!!!」
白目を剥き、泡を吐き、訳の分からない奇声を発しており、もはや“人間としての復活”が不可能な程の損傷を負ったロシア軍がいた。
ウクライナ兵7「私たちが目覚めたときには、ロシア軍は、もう……。」
ウクライナ少佐2「………これを、あいつが…やったのか。」
ウクライナ兵7「……そのようです。」
ウクライナ兵6「日本は………まさかあんな化け物を保有していたのか‥。」
敵国である筈のウクライナ軍は、ロシアの見るに耐えない状況を見て恐ろしさとロシアに対する同情心で溢れていた。
ウクライナ少佐2「……帰還するぞ。この事をセレンスティック大統領に伝えるのだ。」
少佐の命令に従い、ウクライナ軍は自国への帰還準備を行なった。
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