第9話 おやすみ
――23時。
お風呂に入りパソコンで書類の管理をしていた壱。
そして、ぼーっとドラマを見ていたピノ。
「ピノ、そろそろ寝ようか?」
「えっちなこ――」
ピノがそこまでいうと壱が先に言った。
「しないよ」
「じゃ、一緒に寝てもいい?」
「え?」
壱はピノの言葉に驚く。
「一緒の布団でお手て繋いで眠るの」
「うん、いいよ」
「ありがとう」
「じゃ、ベッドに行こうか?」
「うん」
ピノは小さくうなずき。
震えるピノの手を壱はギュッと握りしめた。
「大丈夫だよ」
壱の言葉にピノは安心感を覚えた。
初めて感じる感覚。
今までの主人とは違う感覚。
ピノの頭の中が真っ白になる。
「明日さ……」
静まり返る暗い部屋。
そこに壱の声だけが響く。
そして、そこにピノの音色が響く。
「うん」
「ピノの服を買いに行こうか?」
「え?お洋服?」
「うん。
あんまりお店知らないけどさ。
美知子さんに聞けばわかると思うから……」
壱がそういうとピノが食いつく。
「美知子さん?」
「うん。
僕の秘書だよ。
とっても綺麗で……
なんでも知っているんだ」
「そうなんだ……」
「うん。
だから、きっとピノに可愛い服を選んでくれると思うんだ」
「明日、お仕事はいいの?」
「うん、明日は土曜日だからね……
お仕事はおやすみ」
「そっか」
「うん」
「楽しみ」
ピノの表情が柔らかくなる。
「うん!」
そして、ふたりは静かに寝息を立てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます